法人が事業活動で生み出した価値の大きさは、利益が出ているかどうかとは別に、その法人の事業規模を映し出す。付加価値割は、法人事業税の外形標準課税においてこの事業規模を課税標準とする要素で、報酬給与額・純支払利子・純支払賃借料の合計に単年度損益を加えた付加価値額を基準とする。資本割・所得割と並ぶ外形標準課税の三要素の一つで、対象は資本金1億円超の法人である。利益が赤字でも雇用や賃借を行っていれば付加価値額は生じるため、赤字法人にも負担が及び、都道府県の法人事業税の税収を安定させる。賦課徴収は法人事業税の一部として都道府県が行う。
付加価値額を構成する四つの要素
付加価値割の課税標準である付加価値額は、収益配分額と単年度損益を合算して算定する。収益配分額は、従業員への報酬給与額、支払利子から受取利子を差し引いた純支払利子、支払賃借料から受取賃借料を差し引いた純支払賃借料の三つからなる。これに、その事業年度の所得または欠損である単年度損益を加えたものが付加価値額となる。単年度損益が赤字であっても、報酬給与額などの収益配分額が上回れば付加価値額はプラスになり、付加価値割の負担が生じる。法人が事業活動で分配した価値の総量を課税標準とすることで、利益という単一の指標では捉えきれない事業規模に応じた負担を求める設計になっている。
賃上げを抑制しないための雇用安定控除
付加価値額には報酬給与額が含まれるため、そのまま課税すると、雇用を増やしたり賃金を上げたりした法人ほど付加価値割の負担が重くなり、賃上げや雇用の妨げになりかねない。この副作用を緩和するため、報酬給与額が収益配分額の七割を超える労働集約的な法人については、超える部分を付加価値額から控除する雇用安定控除が設けられている。さらに、給与等の支給額を前年度より一定以上増やした法人については、その増加額を付加価値額から控除する措置が講じられてきた。これらは外形標準課税が雇用や賃上げに対する事実上の罰則にならないよう調整するもので、都道府県税事務所は申告内容からこれらの控除の適用を確認して付加価値割を算定する。
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