ジチテン

訴えの利益

読み:うったえのりえき

別名:狭義の訴えの利益
意味

訴えの利益とは、行政事件訴訟において、原告が訴訟で求める判決を得ることに現実の必要性・実効性があることをいい、これを欠く訴えは却下される。

係争中に処分の効果が消えてしまった場合、それでも裁判を続ける意味があるかが問われる。この問いに答えるのが訴えの利益である。広い意味では原告適格処分性を含む訴訟要件全体を指すが、狭義には、判決を得ることに現実の利益・必要性があるかを問う要件をいう。たとえば、営業停止処分の期間が経過した後や、建築確認を争ううちに工事が完了した後など、処分を取り消しても原告の救済に結びつかなくなった場合には、訴えの利益が消滅したとして訴えが却下されうる。行政事件訴訟法第9条第1項括弧書は、処分の効果が消滅した後もなお回復すべき法律上の利益があれば訴えの利益が残ると定める。

訴えの利益の消滅

訴えの利益(狭義の訴えの利益)は、その訴訟で処分を取り消す現実の必要性・実益があるかという要件であり、原告適格とともに取消訴訟の本案前要件を構成する。処分の取消しによって回復される利益がもはや存在しなくなれば、訴えの利益は失われ、訴えは却下される。判例は、建築確認の取消しを求める訴訟で当該建築工事が完了した場合には、確認を取り消しても工事のやり直しを強制できないとして訴えの利益が消滅するとした。他方で、免職処分を争う公務員が後に公職選挙へ立候補して法律上当然に失職した事案では、復職はできなくとも、免職から失職までの給与請求権という回復すべき利益が残るとして、訴えの利益を肯定した例がある。処分後の事情変化で利益が消えたか否かが争点となる。

回復すべき法律上の利益

行政事件訴訟法第9条第1項の括弧書は、処分の効果が期間の経過その他の理由によりなくなった後においてもなお、処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有する者には、訴えの利益を認める。たとえば営業停止期間がすでに経過した後でも、その停止処分が将来の処分の加重要件(前歴)となる場合や、資格・名誉の制限を回復する利益がある場合には、訴えの利益が残る。判例は、運転免許停止処分について、処分後一定期間を無違反で過ごせば前歴としての効果が消えるとして、その期間経過後は訴えの利益を否定する一方、その期間内であれば加重の基礎となるとして利益を認めるなど、効果の残存を具体的に検討している。原状回復が不能でも、不利益の波及や名誉の回復といった付随的効果が残れば争えるという発想である。

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