都道府県防災行政無線とは、都道府県庁と市町村役場、消防本部などの防災関係機関を結ぶ無線通信網であり、二層構造をとる防災行政無線のうち都道府県が整備・運用する層である。
気象警報や避難の判断材料を市町村へ伝え、市町村からの被害報告を集約して国へ上げる——この縦の情報の流れを支えるのが都道府県防災行政無線である。住民が直接耳にする市町村防災行政無線と違って表からは見えないが、市町村の同報放送の元になる情報の通り道として働く。回線は地上系の無線に加え、自治体衛星通信機構(LASCOM)が運営する地域衛星通信ネットワークの衛星系を併用する都道府県が大半で、地上回線が途絶しても衛星経由で市町村とつながる二重化が施されている。電話網が輻輳する災害時にも専用の通信路を確保できることがこの無線の存在理由であり、平時は一斉伝達の訓練や気象情報の定時連絡で回線の健全性を確かめる運用が続く。全都道府県で整備済みであり、設備更新やIP化のたびに県と市町村の費用負担の調整が論点になる。
衛星系への相乗りと地球局の更新——県と市町村の共同の悩み
衛星系は都道府県が単独で衛星を持つのではなく、地方公共団体が共同出資する一般財団法人自治体衛星通信機構(LASCOM)の地域衛星通信ネットワークに、各団体が地球局を設けて参加する形をとる。都道府県庁、市町村役場、消防本部などに置かれた地球局が衛星を介して結ばれ、地上系の無線回線が途絶しても映像や音声をやり取りできる。Jアラート(全国瞬時警報システム)の配信経路の一つもこのネットワークが担う。通信規格の世代交代に伴う地球局設備の更新は数年がかりの事業になり、県と市町村のどちらが費用をどこまで持つか、更新を機に衛星系から携帯電話網などの代替回線へ切り替えるか、といった判断が各県の防災部局に課されている。
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