水防計画とは、水防法に基づき都道府県および指定水防管理団体が定める計画で、水防の組織、出動の基準、重要水防箇所、資器材の整備や輸送など、出水時の水防活動の実施要領を定めるものである。
地域防災計画があるのに、なぜ別に水防計画が要るのか——両者は根拠法も性格も異なる。災害対策基本法に基づく地域防災計画が予防から復旧までを覆う総合計画であるのに対し、水防法に基づく水防計画は「出水のさなかに堤防をどう守るか」に絞った実行計画であり、水防団の出動基準、受け持ち区間、水防倉庫と資器材の配置、堤防の弱点箇所の一覧といった現場の手順そのものを書き込む。都道府県が水防計画を定め、都道府県知事の指定を受けた指定水防管理団体(市町村等)がこれに応じた水防計画を定めるという二層構造をとり、どちらも毎年検討を加えて出水期前に改めるのが運用の型である。担い手の高齢化で水防団の動員力が細るなか、計画上の出動基準や受け持ち区間を実態に合わせて見直し続けられるかが、書類上の計画と動く計画の分かれ目になる。
二層構造と毎年検討——出水期前の改訂が前提の計画
水防計画は、都道府県の水防計画と、指定水防管理団体の水防計画の二層からなる。指定水防管理団体の水防管理者は、都道府県の水防計画に応じた水防計画を定め、毎年検討を加え、必要があれば変更しなければならない(水防法第33条)。「毎年検討」が法律上の義務とされている点が特徴で、河川改修の進捗、水位計やカメラの増設、水防団員数の増減を出水期前に計画へ反映させる年中行事として機能する。地域防災計画の修正が防災会議の開催を要する重いプロセスであるのに比べ、水防計画は現場手順の更新に的を絞った軽い回転で回る。
重要水防箇所
重要水防箇所とは、堤防の高さや断面が不足する区間、漏水の履歴がある区間など、洪水時に水防上特に注意を要する箇所としてあらかじめ選定し水防計画等に掲げるものである。出水時の巡視はここを重点に行われ、河川管理者と水防管理団体の合同点検で毎年見直される。
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