新生児訪問指導とは、母子保健法第11条に基づき、市町村長が育児上必要があると認めるときに、医師、保健師、助産師などを新生児のいる家庭に訪問させ、保護者に育児上必要な指導を行わせる制度である。新生児とは出生後28日を経過しない乳児をいい、訪問指導は新生児期を過ぎた後も継続できる。
生後間もない時期の家庭訪問には、よく似た名前の制度が二つ並んでいる。母子保健法に基づく新生児訪問指導と、児童福祉法に基づく乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)である。前者は保健師・助産師などの専門職が体重測定や授乳・育児の保健指導を行うことに主眼があり、後者は生後4か月までの全家庭を対象に、研修を受けた地域の訪問者も含めて状況把握と情報提供を行う点に主眼がある。根拠法も目的も従事者も異なるが、訪問先の家庭から見れば区別はつかないため、実務では1回の訪問で両制度を兼ねる一体的実施が広く行われている。把握の起点は母子健康手帳交付時に渡される出生連絡票(はがきや電子申請)で、産後うつのスクリーニングや養育環境のリスク把握の機会としても位置づけが重くなっており、訪問を拒む家庭や連絡のつかない家庭への再アプローチが虐待予防の文脈で問われる。
乳児家庭全戸訪問事業との一体的実施
新生児訪問指導は「育児上必要があると認めるとき」に行う選別的・専門的な保健指導であり、全戸を対象とする乳児家庭全戸訪問事業とは制度上の建て付けが異なる。しかし両者を別々に実施すれば家庭には二度の訪問負担がかかり、市町村にも人員の二重投入になるため、保健師・助産師が訪問する場合に新生児訪問指導と乳児家庭全戸訪問事業を同時に充足する一体的実施が国の通知でも認められ、運用の主流になっている。一体的実施では、専門職による授乳・発育の指導と、エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)などを用いた産後うつの把握、養育環境のリスク評価を1回の訪問で行い、支援が必要な家庭は養育支援訪問事業や産後ケア事業へつなぐ。低出生体重児については母子保健法第18条の届出を起点に、未熟児訪問指導(同法第19条)として継続的に関わる経路もあり、訪問系の母子保健事業は重層的に組み合わせて運用される。
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