給与決定の原則とは、地方公務員の給与をどのように定めるかを規律する基準の総称であり、地方公務員法第24条に根拠を持つ。職務と責任に応じて給与を定める職務給の原則(同条第1項)、国や他の地方公共団体、民間の従事者などとの均衡を考慮して定める均衡の原則(同条第2項)、そして給与を議会の議決した条例によって定めるべきとする給与条例主義(同条第5項)からなる。
地方公務員の給与は、税を原資とし、条例で定められる。だからこそ、お手盛りで高く設定することも、首長の裁量で恣意的に動かすことも許されない。給与決定の原則は、こうした給与の決め方に歯止めをかけるために置かれた基準で、職員の給与が職務と責任の重さに見合い(職務給の原則)、かつ国や他団体、民間の水準と均衡する(均衡の原則)ことを求める。前者は同じ団体の中で職の重さに応じた釣り合いを、後者は外部との釣り合いを確保するもので、向きの異なる二つのものさしが組み合わされている。実務では、人事委員会を置く団体ではその給与勧告が、置かない団体では国の給与改定や近隣団体の状況が、均衡を測る具体的な手がかりとなる。これらの原則は、給料表や諸手当の設計を縛る前提として働く。
職務給の原則と均衡の原則
地方公務員法第24条は、給与決定の中核となる二つの原則を定める。第1項の職務給の原則は、職員の給与をその職務と責任に応じて定めるべきとするもので、職務の困難度や責任の重さを等級や号給という形で給料表に反映させる根拠となる。第2項の均衡の原則は、給与を、生計費や、国家公務員、他の地方公共団体の職員、民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定めるべきとするものである。職務給の原則が団体内部での職と給与の釣り合いを見るのに対し、均衡の原則は外部の水準との釣り合いを見ており、両者は対象とする釣り合いの方向が異なる。
給与条例主義との関係
給与決定の原則は、給与は条例で定めなければならないとする給与条例主義(地方公務員法第25条第1項)と一体で機能する。職務給や均衡という実体的な基準を満たしているかは、最終的に議会の議決を経た給与条例の形で具体化され、住民の代表によるチェックを受ける。条例で定めるべき事項には給料表や手当の額、支給方法が含まれ(同条第2項)、条例に基づかない給与の支給は許されない。原則が「どう決めるか」の中身を担い、条例主義が「誰がどの手続で決めるか」の形式を担うという関係にある。
人事委員会の給与勧告
均衡の原則を実際に働かせる仕組みが、人事委員会による給与勧告である。人事委員会を置く都道府県や指定都市、特別区などでは、毎年民間給与の実態を調査し、職員給与との較差をもとに給与改定を勧告する。労働基本権が制約されることの代償措置として設けられた仕組みで、勧告を受けて給与条例の改正案が議会に提出される流れが一般的である。人事委員会を置かない多くの市町村では、国の人事院勧告や近隣団体の改定状況を参考に給与を改定しており、ここでも均衡の原則が判断の拠りどころとなる。
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