ジチテン

公衆衛生

読み:こうしゅうえいせい

意味

公衆衛生とは、地域社会全体の健康水準の維持・向上を図る組織的な取り組みの総称で、感染症対策や食品衛生、環境衛生、母子保健などを包含する概念である。

公衆衛生は、世界保健機関が示すように、組織的な社会の努力によって疾病を予防し、寿命を延ばし、心身の健康を増進する科学と技術であり、一人ひとりを診る個人医療と対比される、集団・社会へのはたらきかけを特徴とする。

日本の地方行政では、公衆衛生は、感染症対策食品衛生、水道や廃棄物などの環境衛生、母子保健、学校保健、産業保健、精神保健、健康増進といった広範な分野を包含する概念として用いられる。都道府県や指定都市などが設置する保健所が、地域の公衆衛生行政の中核を担う機関であり、医師・保健師・薬剤師・食品衛生監視員といった専門職が配置される。

地域保健法との関係

地域保健法は、公衆衛生行政の実施体制を整理し、保健所と市区町村保健センターの役割分担を定めている。保健所は、専門的・技術的で、複数の市町村にまたがる広域的な公衆衛生の業務を担い、市区町村保健センターは、健診予防接種、健康相談といった住民の日常的な保健サービスを担う。この二層の構造によって、高度で専門的な対応と、身近できめ細かなサービスとが、役割を分けて提供される仕組みとなっている。感染症の集団発生や食中毒のように専門的な調査と権限を要する事態には保健所が、日々の母子保健や健康づくりには保健センターが対応する。

健康増進法との連動

健康増進法は、国民の健康増進を総合的に進める枠組みを定め、市区町村が地域の実情に応じた健康増進計画を策定することを努力義務としている。国は、生活習慣病の予防や健康寿命の延伸を目標とする国民健康づくりの運動を策定しており、市区町村の健康増進計画は、その目標に沿って、食生活・運動・喫煙・飲酒・歯の健康といった分野ごとに地域の取組みを定める。公衆衛生の重点は、かつての感染症対策から、生活習慣病をはじめとする慢性疾患の予防へと広がっており、住民一人ひとりの行動の変容を、地域ぐるみで支える施策が中心となっている。

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