健康寿命とは、日常生活に制限のない期間の平均のことで、WHO(世界保健機関)が提唱した概念を厚生労働省が国民生活基礎調査の「日常生活に制限があるか」という主観的健康観の回答データを用いて算定する。健康寿命の延伸(平均寿命との差の縮小)が、健康・医療・介護政策の共通目標として設定されている。
平均寿命が延びても、寝たきりや要介護の期間が長ければ本人の生活の質は下がり、医療・介護の費用もかさむ。健康寿命は、日常生活に制限のない期間の平均であり、単に長生きするだけでなく自立して暮らせる期間に着目して健康・医療・介護政策の共通の目標を示す点が肝心である。
WHOが提唱した概念を、厚生労働省が国民生活基礎調査の「日常生活に制限があるか」という回答をもとに算定する。日本の健康寿命は2019年時点で男性72.68年・女性75.38年で、平均寿命との差(男性8.73年・女性12.07年)の縮小が政策目標となっている。「健康日本21(第三次)」(2023〜2032年度)は健康寿命の延伸を最重要目標に掲げ、都道府県・市区町村は健康増進計画で地域の目標を設定することが推奨される。
平均寿命との差の意味
平均寿命と健康寿命の差は「不健康な期間」(日常生活に制限がある期間)を示す。この差が大きい状態は、長生きはしているが介護や医療を必要とする期間が長いことを意味し、本人のQOL低下・医療・介護費用の増大につながる。国が健康寿命の延伸を政策目標に掲げるのは、高齢者が自立した生活を長く送れることが個人・社会の双方にとって意義があるという考え方に基づく。都道府県間の健康寿命の格差(最大で3〜4年程度)もあり、格差の要因分析と自治体間の施策比較が重要な研究課題となっている。
市区町村の健康増進計画
健康増進法第8条は市区町村に「市町村健康増進計画」の策定を努力義務として課す。計画では、食生活・栄養管理、身体活動・運動、休養とこころの健康、飲酒・喫煙対策、歯・口腔の健康、がん・生活習慣病の予防といった各分野にわたる目標(健康寿命・特定健診受診率・喫煙率等)を設定し、PDCAサイクルで評価する。市区町村の健康増進担当課(保健師・管理栄養士が配属される部署)が計画を立案・実施し、地域包括支援センター・医療機関・スポーツ施設等と連携する。
地域診断とデータ活用
市区町村が自地域の健康課題を把握するための「地域診断」には、健診・医療・介護のレセプトデータを統合した分析ツールである国保データベース(KDB)システム(国民健康保険中央会が提供)、死亡率・疾病率・介護認定率といった地域の健康指標の統計分析、健康フェアなどでの測定会を含む住民へのアンケート・健康チェックが活用される。地域診断の結果を地域の実情に即した健康増進施策の立案に反映させる「データヘルス計画」(国民健康保険保険者として市区町村が策定する保険事業計画)との連動が重要となる。
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