過年度支出とは、過去の会計年度に属する経費で、その年度の出納が閉鎖された後に支払うべきことが確定したものを、支払う現年度の支出として処理することをいう(地方自治法)。本来は前の年度に属する経費を、現年度の歳出として支出する扱いである。
年度の出納が閉鎖された後になって、過去の年度に属する経費の支払を求められることがある。過年度支出は、こうした締め切られた過去の年度の経費を、実際に支払う現年度の歳出として処理する仕組みである。
例としては、過去の年度に締結した契約に基づく代金の請求が出納閉鎖の後に届いた場合や、過去の年度の給与や手当の計算に誤りがあって不足分を後から支払う場合などがある。これらは本来、その当時の年度に属する経費だが、その年度の出納はすでに閉鎖され、決算も確定しているため、さかのぼって計上することはできない。そこで、実際に支払う現年度の歳出として、過年度支出という区分で処理する。収入の側の過年度収入と同じく、確定した過去の決算を動かさずに、後から生じた支払を会計に取り込むための扱いである。
過年度支出が生じる場面と統制
過年度支出は、本来あるべき年度の支出が、その年度のうちに処理されなかったことを意味する。請求書の到着の遅れのようにやむをえないものもあるが、なかには、支出の管理が行き届かず、支払うべき経費を見落としていた結果として生じるものもある。そのため、過年度支出がどの程度発生しているかは、各年度の支出事務が適切に行われていたかを映す。多額の過年度支出が常態化していれば、予算の見積りや債務の管理に問題がないかが問われる。過年度支出は現年度の予算から支出されるため、その分だけ現年度に使える財源が圧迫されることにもなる。後年度に思わぬ支払が生じないよう、各年度の債務を確実に把握し、支払うべきものをその年度のうちに処理することが、健全な財務管理の基本となる。
過年度収入との対称性
過年度支出は、収入の側の過年度収入と対称の関係にある。いずれも、出納閉鎖によって確定した過去の年度の決算には手を加えず、後から判明した収入や支出を現年度の会計で処理するという共通の考え方に立つ。この対称的な仕組みによって、地方公共団体の会計は、年度ごとに区切られた決算の確定性を保ちながら、現実に避けられない年度をまたぐ収入や支出を漏れなく取り込むことができる。決算書を読む際には、過年度収入と過年度支出の額に目を向けることで、その団体の収入の確保や債務の管理がどの程度的確に行われているかを、間接的にうかがうことができる。
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