事前議決の原則とは、普通地方公共団体の長が毎会計年度の予算を調製し、その年度の開始前に議会の議決を経なければならないとする予算原則である。地方自治法第211条に定められ、執行に先立つ議会の統制を予算に及ぼす。
予算が使われてから議会に諮るのでは、住民の代表による事前のチェックが働かず、議会は長の支出を後追いで追認するほかなくなる。事前議決の原則は、長が予算を調製し年度の開始前に議会の議決を得ることを求め、財政運営への議会の統制を執行の前に及ぼす(地方自治法第211条)。
同条は予算を議会に提出する時期も定めており、都道府県および指定都市は年度開始前30日、その他の市町村は20日までに提出しなければならない。年度開始までに予算が成立しない事態に備えて、必要最小限の経費だけを計上する暫定予算(第218条第2項)の仕組みが用意されている。年度の途中で生じた事情に対応する補正予算も、改めて議会の議決を経て初めて執行できる。
当初予算の提出期限と予算の空白
新年度の当初予算は、年度開始前に議会の議決を得て成立する必要があり、長は都道府県・指定都市では30日前、その他の市町村では20日前までに議会へ提出しなければならない。多くの団体では3月の定例会で翌年度予算を審議する。もし年度開始までに議決が得られなければ予算が存在しない空白が生じるため、選挙や議会の紛糾でこうした事態が見込まれるときは、当面の経常的経費に限った暫定予算を組んで急場をしのぎ、本予算の成立後にこれを吸収する。事前議決を貫くがゆえに、予算不成立への備えが制度に組み込まれている。
専決処分という例外
議会を招集する時間的余裕がない場合などには、長が議会の議決すべき事項を自ら処理する専決処分(地方自治法第179条)が認められ、予算についても例外的に長が定めることがある。ただし専決処分は事後に議会へ報告し承認を求めなければならず、承認が得られなくても処分の効力は失われないものの、長は政治的責任を問われる。事前議決を原則としつつ、緊急時に行政を止めないための安全弁として専決処分が置かれている関係にあり、安易な多用は議会軽視として問題視される。
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