意味
道路啓開とは、地震や津波などの災害で倒壊物やがれき、放置車両が道路をふさいだ際に、これらを除去して緊急車両が通行できる最低限の道路空間を確保する応急的な作業をいう。
被災直後、救助隊や救急車、物資を載せたトラックが被災地へ入れなければ救命も支援も始まらない。道路啓開は、復旧のように道路を元どおりに直すことではなく、がれきや倒木、立ち往生した車両を脇へ寄せ、一車線でも緊急車両が通れる動線を最優先で開く作業である。東日本大震災で太平洋沿岸の幹線を内陸から沿岸へ複数のルートで開いた「くしの歯作戦」が知られ、その後は各地方整備局が被災想定ごとに啓開ルートと担当を定めた計画を持つようになった。実働は国や自治体の要請を受けた建設業協会など民間の建設企業が担うことが多く、災害協定に基づいて重機とオペレーターが動員される。放置車両の移動には所有者の同意を待てないため、災害対策基本法の改正で道路管理者が車両を強制的に移動できる権限が整備された。
くしの歯作戦と放置車両の移動権限
道路啓開の代表例が、東日本大震災で東北地方整備局が展開した「くしの歯作戦」である。まず内陸を縦に貫く東北自動車道や国道4号を確保し、そこから津波で寸断された沿岸部へ向けて複数の横断ルートを順次開き、くしの歯のように動線を伸ばした。この経験から、各地方整備局や自治体は被害想定ごとに優先啓開ルートと建設企業の担当区間を事前に割り付けた道路啓開計画を整備している。実務上の障害となるのが、渋滞のなか乗り捨てられた放置車両である。所有者の同意を得る余裕がないため、災害対策基本法の改正により、緊急通行車両の通行を確保する必要がある区間では、道路管理者が放置車両や立木を運転者の同意なく移動できる権限が定められた。
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