ジチテン

わたり

読み:わたり

意味

わたりとは、職員が実際に従事する職務より上位の級に格付けて給与を支給する運用をいう。職務給の原則に反する給与制度の運用として、是正の対象とされてきた。

職務に見合わない高い給与を年功的に支給する運用で、職務給の原則の形骸化として批判されてきた慣行である。地方公務員の給料は職務の困難度と責任に応じて決めるのが原則(職務給の原則)で、級別職務分類に従って職と級を一致させなければならない。ところが、係員にすぎない職員を一定の年齢・経験年数にしたという理由で課長補佐相当の級へ昇格させるなど、職務の裏付けなく上位の級へ「渡らせる」運用が一部の団体で行われてきた。総務省はこれを是正すべき給与制度の問題として繰り返し指摘し、ラスパイレス指数による国との比較とあわせて公表・改善を求めている。

どこが職務給の原則に反するのか

職務給の原則の核心は「給与は現に就いている職務に対して支払う」点にある。わたりは、職務はそのままに級だけを上げるため、係員の仕事をしている職員に課長補佐相当の給料を支払う結果を生む。これは同じ職務には同じ給与という原則を崩し、職務と無関係に年功で給与が積み上がる仕組みを温存する。級別職務分類で各級の標準職務が定められているにもかかわらず、その対応を無視して格付けする点で、制度の建前と運用が乖離する典型例とされる。

是正の経緯と公表による圧力

総務省は、給与制度の運用実態を「地方公務員給与実態調査」等で把握し、わたりを行う団体名を公表するなどして是正を促してきた。住民や議会からの人件費批判、ラスパイレス指数が国を上回る団体への注目も後押しとなり、わたりを廃止して職と級を一致させる団体が増えた。ただし、職員の既得の給与を引き下げる調整には現給保障などの経過措置が必要で、是正には時間を要する。給与の適正化は、級別職務分類の厳格運用とわたりの解消を両輪として進められてきた。

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