特定行政庁とは、建築基準法に基づき建築確認・違反是正命令などの建築行政事務をつかさどる行政機関である。建築主事を置く市町村の区域はその市町村長、それ以外の区域は都道府県知事が特定行政庁となる。
建築物が基準に適合しているかを確認し、違反があれば是正させる権限は、誰が持つのかをはっきりさせておく必要がある。特定行政庁は、建築基準法の運用を担う行政庁を一語で指すための概念で、建築確認や違反建築への命令といった建築行政の主体を特定する。窓口対応では「どこが特定行政庁か」が手続の入口になる。
建築主事を置く市町村ではその市町村長が、建築主事を置かない市町村の区域では都道府県知事が特定行政庁となる。建築主事は確認や検査という個別の事務を処理する職員であるのに対し、特定行政庁は是正命令や許可といった行政処分を行う「庁」であり、両者は役割が異なる。
民間の指定確認検査機関も建築確認を行えるが、違反建築物への是正命令や使用禁止命令といった行政処分の権限は特定行政庁にしかない。確認は民間でも受けられるが、トラブルや違反の最終的な責任主体は特定行政庁である、という役割分担が実務の要点である。
建築主事との違い
特定行政庁と建築主事は混同されやすいが別物である。建築主事は建築確認・完了検査などの個別事務を専門的に処理するために特定行政庁に置かれる職員(人)であり、特定行政庁は建築基準法上の許可や是正命令といった行政処分を行う行政庁(庁)である。確認済証の交付は建築主事の名で行われるが、違反建築物への措置命令は特定行政庁の名で発せられる。誰が確認したか(主事)と誰が処分するか(特定行政庁)を分けて理解しないと、違反対応の窓口を取り違える。
限定特定行政庁
特定行政庁には、建築主事を置く市町村の長で、すべての建築物の確認等を所管するものと、建築基準法第97条の2に基づき一定規模以下の建築物(同条にいう政令で定める建築物)のみを扱う建築主事を置く市町村の長=「限定特定行政庁」がある。限定特定行政庁の市町村では、小規模な建築物の確認・処分は市町村が担い、それを超える大規模建築物の確認や処分は都道府県知事=都道府県の特定行政庁が担うという分担になる。建築主事を置かない市町村では、確認・処分とも都道府県の特定行政庁が所管する。自らの市町村がどの範囲を所管するかは、建築行政の体制を考えるうえで前提となる。
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