特記仕様書とは、個々の工事に固有の施工条件・工法・材料・共通仕様書の変更事項などを定め、その工事に特別に適用される仕様書である。
共通仕様書はどの工事にも通じる標準を示すが、現場ごとの事情までは書かれていない。その工事だけの特別な条件を補うのが特記仕様書である。特記仕様書には、その工事に固有の工法や材料、施工上の制約(夜間施工・交通規制・近接構造物への配慮など)、共通仕様書の内容を変更・追加・削除する事項、提出書類や成果品の特記などが記される。共通仕様書とあわせて設計図書を構成し、両者が矛盾する場合は通常、その工事に即して定めた特記仕様書が優先する。受注者は、まず特記仕様書を読んでその工事固有の要求を把握し、定めのない一般事項は共通仕様書に従う。発注者は、特記仕様書の作成段階で、現場条件・設計意図・関係法令を反映させ、共通仕様書との重複や矛盾を避けて、必要な事項だけを的確に記載する。
共通仕様書との優先関係
特記仕様書は、その工事だけに適用する個別の仕様書で、多数の工事に共通して適用される共通仕様書と対をなす。両者の記載が食い違う場合、その工事に即して個別に定めた特記仕様書を優先するのが原則であり、設計図書の優先順位としてあらかじめ明示しておく。受注者は、特記仕様書で当該工事固有の条件・工法・材料を確認し、特記に定めのない一般事項は共通仕様書の基準に従って施工する。特記仕様書には、共通仕様書の規定を変更・追加・削除する事項を明記するため、共通仕様書のどの条項を修正するのかを引用して書くのが実務上望ましい。あいまいな記載は、施工段階での解釈の食い違いや設計変更の原因となるため、発注者は記載の明確さに注意する。
設計図書の中での役割
特記仕様書は、図面・共通仕様書・現場説明書・質問回答書などとともに設計図書を構成し、契約の内容を具体的に画する文書である。とりわけ特記仕様書は、その工事の設計意図や現場固有の制約を受注者へ伝える中心的な媒体であり、提出書類・成果品の特記、品質・出来形の特別な管理基準、安全・環境上の配慮事項などを盛り込む。これらは積算の前提にもなるため、特記仕様書の内容は予定価格の積算と整合していなければならない。記載に過不足があると、施工段階で設計変更や工事打合せ簿による協議が増え、工期や費用に影響する。発注者は、設計の成果として特記仕様書を整え、入札時に質問回答書で疑義を解消して、契約後の認識の齟齬を防ぐ。
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