滞在快適性等向上区域とは、都市再生特別措置法に基づき市町村が都市再生整備計画に位置づける区域で、車中心の道路や広場を歩いて滞在し過ごせる空間へ転換し、人中心のまちなかをつくるための区域である。
中心市街地の通りが車の通過に占められ、人が歩いて立ち止まり過ごせる場所が乏しいとき、にぎわいや商業はどう取り戻せるのか。滞在快適性等向上区域は、2020年の都市再生特別措置法改正で創設された区域で、市町村が都市再生整備計画のなかに区域を設定し、道路空間や広場をカフェのテラス・ベンチ・植栽といった滞在の場へ再編する。区域内では、歩行者の利便を高める施設の整備や、道路占用許可の特例による路上のオープンスペース活用が後押しされる。国土交通省が掲げる「居心地が良く歩きたくなるまちなか(ウォーカブル)」政策の中核に位置づけられ、まちなかウォーカブル区域とも呼ばれる。立地適正化計画の都市機能誘導区域と重なる中心部で運用されることが多く、人を集めて経済を回す都市の再生を空間の質から支える仕組みである。
道路を「通行」から「滞在」へ転換する
滞在快適性等向上区域の核心は、道路や駅前広場を車の通行のための空間から、人が歩いて滞在する空間へ性格を変える点にある。区域内では、歩行者の通行や滞在の快適性を高めるため、車道を狭めて歩道やベンチ・テラスを広げる再編が想定される。これを後押しするのが道路占用許可の特例で、通常は厳しく制限されるカフェのテラス席やイベントの出店、ベンチ・看板の設置が、市町村の指定する道路(滞在快適性等向上区域内の道路)で柔軟に認められる。空間を物理的に変えるだけでなく、占用の規制を緩めて民間の使いこなしを引き出す両面の仕組みである。
都市再生整備計画への位置づけと関連制度
区域の設定は単独の手続ではなく、市町村が作成する都市再生整備計画のなかに区域を書き込む形で行う。区域内では滞在快適性等向上施設等(一体型滞在快適性等向上事業として整備される広場・歩道・電線地中化など)の整備に交付金の支援が及ぶ。あわせて、2020年改正で道路法に創設された歩行者利便増進道路(ほこみち)制度とも連動し、道路側からも歩行者中心の空間づくりを担保する。立地適正化計画でコンパクト化を進める都市機能誘導区域の中心部と区域が重なる例が多く、人口減少下でまちなかの密度と質を保つ都市政策のパッケージの一部をなす。
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