水銀廃棄物とは、廃水銀や水銀を含む廃製品など、水銀を含有する廃棄物の総称であり、水俣条約を受けた廃棄物処理法の規制対象となるものをいう。
蛍光ランプや水銀体温計を廃棄物として扱うとき、自治体が分別と処理の特例に気を配るのが水銀廃棄物である。水銀は微量でも環境や健康への影響が大きく、水俣病の教訓と水銀に関する水俣条約を受けて、廃棄物処理法でも水銀を含む廃棄物に特別の規制が設けられた。水銀廃棄物には、回収された廃水銀そのもの、水銀使用製品が廃棄物となった水銀使用製品廃棄物、水銀を一定濃度以上含む汚泥などの水銀含有ばいじん等がある。市町村が集める一般廃棄物としては、蛍光管・水銀体温計・水銀血圧計などが該当し、ほかのごみと分けて拠点回収や分別収集で集め、水銀を回収できる施設で処理する流れが整えられてきた。事業者から出るものは産業廃棄物として、保管・収集運搬・処分の基準が上乗せされている。誤って破砕・焼却すると水銀が大気へ飛散するため、分別が要となる。
水俣条約と国内の規制
水銀廃棄物の規制は、2013年に採択された水銀に関する水俣条約を国内で実施するために整えられた。条約は、水銀の採掘から使用・排出・廃棄までの全段階で水銀を減らすことを目指しており、これを受けて廃棄物処理法の政省令が改正され、水銀廃棄物の区分と処理基準が定められた。具体的には、回収された廃水銀等を特別管理廃棄物に位置づけて硫化・固型化のうえ埋立てることや、水銀使用製品廃棄物・水銀含有ばいじん等について、水銀を回収したうえで処理する基準が設けられている。自治体は、これらの基準にのっとって一般廃棄物としての水銀廃棄物を適正に処理する必要がある。
市町村の分別収集
家庭から出る水銀廃棄物の代表は、蛍光管・乾電池(かつてのもの)・水銀体温計・水銀血圧計である。これらをほかの不燃ごみや粗大ごみと一緒に破砕・埋立てすると、水銀が漏れ出して環境を汚染するおそれがあるため、市町村の多くが分けて集める仕組みをとっている。回収方法は、ステーションでの分別収集のほか、公共施設や販売店に回収ボックスを置く拠点回収が用いられる。集めた製品は、水銀を回収できる専門の処理施設へ送り、水銀を取り出して安定化させる。住民への分別の周知が要であり、収集カレンダーや広報で、割れやすい蛍光管の出し方とあわせて案内されることが多い。
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