ジチテン

災害拠点病院

読み:さいがいきょてんびょういん

意味

災害拠点病院とは、災害時に重症者の受け入れや医療救護班の派遣の中核を担う病院として、都道府県知事が指定する医療機関である。

大規模災害では多数の負傷者が同時に発生し、近隣の一般病院だけでは重症者をさばききれない——この事態に備えて医療の拠点をあらかじめ定めておくのが災害拠点病院の役割である。阪神・淡路大震災で「防ぎ得た災害死」が相次いだ反省から1996年に整備が始まり、各都道府県に基幹災害拠点病院を、二次医療圏ごとに地域災害拠点病院を置く体系になっている。指定の要件には、耐震構造、自家発電と受水槽による3日程度のライフライン自立、災害派遣医療チーム(DMAT)の保有、ヘリポートの確保などがあり、被災してもみずから機能を維持しながら他の医療機関を支える設計になっている。重症者の収容能力には限りがあるため、広域医療搬送で被災地外へ運ぶ判断や、トリアージで治療の優先順位を付ける運用と一体で動く。平時の訓練と物資・医薬品の備蓄をどう維持するかが、いざというときの実効性を分ける。

基幹と地域の二層構造

災害拠点病院は、都道府県に原則1か所置く基幹災害拠点病院と、二次医療圏ごとに置く地域災害拠点病院に分かれる。基幹は地域の災害拠点病院を取りまとめ、要員研修や訓練の中心を担い、地域は圏域内の重症者受け入れと医療救護の前線になる。指定は都道府県知事が行い、災害派遣医療チーム(DMAT)の保有や耐震構造、ヘリポートの確保といった要件を満たさなくなれば指定の取り消しもありうるため、施設は耐震化や自家発電の維持に継続的な投資を求められる。指定要件は厚生労働省の通知で全国共通に示されており、定期的に見直される。

みずから被災しながら機能を保つという難題

災害拠点病院の最大の特殊性は、自院も被災地のただ中にありながら医療機能を落とせない点にある。停電で人工呼吸器や電子カルテが止まれば直ちに人命にかかわるため、3日分程度の自家発電燃料・受水槽・医薬品の備蓄が要件化されている。それでも燃料の補給路や職員の参集が断たれれば機能は低下するため、業務継続計画受援体制を医療版で持つことが指定の実質を支える。東日本大震災では燃料切れで自家発電が止まりかけた拠点病院もあり、燃料の優先供給協定や受援計画の整備が後の見直しで重視された。

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