ジチテン
意味

供覧とは、決裁を要しない文書・情報を関係者に順次回覧して確認させる行政内部の手続であり、回議・決裁とともに庁内の文書処理を構成する基本的な動作の一つである。

庁内の文書には、組織として何かを決めるものと、決めるわけではないが関係者に知らせて共有するものがある。供覧は、文書・情報の内容を関係者や上位者の閲覧に供する行為であり、決裁のように意思決定を求めず、情報の共有・確認に用いることで決裁と役割を分ける点が肝心である。

庁内文書の処理には「決裁」と「供覧」の2種類がある。決裁は特定の行為・支出・計画について組織の意思決定を求める手続きで、決裁権者の承認が必要となる。これに対して供覧は、意思決定を要せず情報を共有・確認してもらう手続きで、閲覧後に確認のサインを求めることはあっても内容への承認を求めるわけではない。庁内では「供覧のみ」「決裁不要・供覧」などと表記して文書の性格を示す。

供覧の典型的な場面

供覧が用いられる典型的な場面には、他省庁や都道府県から受け取った通知・文書を上位者や関係課に回付する場合、完了した事業の報告書や結果報告を関係部署に情報提供する場合、決裁後の執行状況を上位者に報告する場合、会議・審議会議事録や報告書を関係者に回付する場合などがある。電子決裁システムでは「供覧ルート」として配信先を設定する機能が設けられることが多く、紙の場合は「供覧済」のスタンプや確認欄への押印・サインで記録する。

決裁との区別の実務上の重要性

文書の性格が「供覧か決裁か」を誤ると、意思決定が形成されない状態で事業が進むリスクがある。支出・契約・規則の制定・改廃等は必ず決裁を要し、供覧による情報共有で代替することはできない。起案者は文書の目的に応じて「決裁文書」か「供覧文書」かを明確に区分して起案する。また、決裁後の執行過程で発生した変更や追加情報は、別途供覧文書として上位者に報告するのが通例である。供覧で回した文書をもって決裁の代わりにすると、組織として正式に決めたという裏付けを欠いたまま事業が動くことになるため、起案の段階で決裁が要る事項か情報共有で足りる事項かを見極めることが肝心となる。

電子決裁システムでの扱い

電子決裁の導入に伴い、供覧もシステム上で処理されるようになっている。配信先を指定してシステム上で回付し、閲覧記録がログとして保存される。紙の時代と異なり、誰が・いつ閲覧したかの記録が自動的に残るため、情報伝達の確認が容易になる。未読の供覧文書がある職員にはシステムから通知が届く仕組みを持つ製品もある。閲覧の記録が自動的に残ることで、重要な情報が関係者に確かに伝わったかを後から確認でき、紙の回付では曖昧だった「見たか見ていないか」をめぐる責任の所在が明確になる。

供覧の記録と保存

行政文書として管理すべき供覧文書は、文書保存規則に基づいて一定期間保存する義務がある。電子決裁システムを導入している自治体では、供覧の閲覧記録・配信履歴が自動的にログとして残り、事後的に確認できる。紙の供覧文書の場合は、供覧済みの日付・確認者氏名を台帳等に記録して管理する。どの供覧文書を行政文書として残すかは文書管理規則の保存基準によって決まり、政策判断の経緯にかかわる供覧は、後の検証や情報公開請求に備えて確実に保存しておく必要がある。

供覧と回覧の違い

「回覧」は主として庁内連絡事項や通知を順次回して情報を周知する行為を指し、「供覧」より広義に使われることがある。一方「供覧」は上位者・関係者への閲覧提供という意味合いが強く、特に決裁権者が情報を把握するための手続きとして機能する。自治体の文書管理規則では「供覧」と「回覧」を区別して定義している場合と、一体的に規定している場合とがある。いずれにせよ、語の違いよりも、その文書が意思決定を求めるのか単に知らせるためのものなのかという機能の違いを押さえることが、文書を適切に処理するうえで重要となる。

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