ジチテン

公物

読み:こうぶつ

意味

公物とは、道路・河川・公園など、行政主体が直接公共の用または公用に供する有体物をいう。

道路や河川、庁舎の敷地をめぐる権利関係を整理するとき、その土台となるのが公物の概念である。公物は、行政主体が公共の用または公用に供する有体物で、住民一般の利用に供される公共用物(道路・河川・公園など)と、行政自身の使用に供される公用物(庁舎・公用車など)に分かれる。公物には公共目的を確保するための特別の法的規律が及び、原則として私人による時効取得や強制執行になじまず、不融通物として扱われる。公物が公物としての性質を備えるには、自然の状態で成立する自然公物(河川など)を除き、行政庁が公の用に供する旨を表示する公用開始の行為を要する。地方自治法上の行政財産は、自治体の保有する公物のうち公用・公共用に供されるものにあたる。

公共用物と公用物

公物は、その用途によって公共用物と公用物に分かれる。公共用物は道路・河川・公園・港湾・海浜など住民一般の利用に直接供される公物で、誰もが本来の用途に従って使う自由使用(一般使用)が原則となる。道路を通行し、公園で休息するのに許可は要らない。これに対し公用物は、庁舎・公用車・国公立学校の施設など、行政主体自身が事務・事業の用に供する公物で、一般の利用には開かれていない。両者とも、本来の用途を妨げない限度で、私人が一般使用を超えて継続的・排他的に使う特別使用(道路の占用許可、河川の流水占用など)が認められることがあり、その際は使用料の徴収を伴う。公共用物か公用物かによって、住民が当然に使えるか否かが分かれる点が、両者を区別する実益である。

公物の成立と消滅

公物は、人の手で作られた人工公物と、自然のままで公物となる自然公物に分けられ、成立・消滅のしかたが異なる。人工公物(道路・公園など)は、行政庁が当該物を公の用に供する旨を決定・表示する公用開始行為によって公物となる。道路でいえば、道路法に基づく路線の指定と供用開始の公示がこれにあたる。そして、その目的を失わせる公用廃止によって公物としての性質を失い、私物として処分しうる状態に戻る。これに対し河川・海浜のような自然公物は、特段の行為を待たず自然の状態で公物性が認められる。公物としての性質を持つ間は、行政目的を確保するため、私法上の取引(譲渡)や取得時効による私人の取得が原則として制限される。もっとも判例は、長年公の目的に使われず黙示の公用廃止があったと認められる場合には、時効取得を例外的に肯定している。

つながりのある用語

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