保育所保育指針とは、保育所における保育の内容・方法・環境・家庭との連携等に関する厚生労働大臣の告示(平成29年厚生労働省告示第117号、令和元年4月1日施行)で、保育所が保育を行う際の全国共通の基準・方針を定めるものである。幼稚園教育要領(文部科学大臣告示)・幼保連携型認定こども園教育・保育要領(内閣府・文部科学省・厚生労働省告示)と同時に改訂・整合が図られている。
保育所が施設ごとにばらばらの方針で保育を行えば、子どもが受ける保育の質に差が生じ、小学校への接続も滑らかにいかない。保育所保育指針は、保育所が保育を行う際の内容・方法・環境・家庭との連携を定めた全国共通の基準であり、どの保育所でも一定の質の保育を保障する土台となる点に意味がある(厚生労働大臣告示)。
厚生労働省が策定し、概ね10年ごとに改訂される。現行(平成29年告示)は、基本原則を示す総則、年齢区分ごとのねらい・内容を定める保育の内容、健康・食育・安全、子育て支援、職員の資質向上の5章で構成される。幼稚園教育要領・幼保連携型認定こども園教育・保育要領と同時に改訂され、保育所が幼児教育を行う施設として明確にされたことで小学校教育との接続が重要課題となった。
市区町村の関わり方
保育所保育指針は国の告示であるため、市区町村が直接内容を決定することはできないが、公立保育所を運営する市区町村は指針に基づいた保育内容の実施と職員研修を担う。私立保育所については、都道府県・市区町村が実地指導(児童福祉法第46条に基づく立入調査)の際に指針への適合状況を確認する。保育所が策定する「全体的な計画」(旧称:保育課程)・「指導計画」は指針の内容に基づいて作成され、自治体は助言・支援を行う。
養護と教育の一体的展開
保育所保育指針は保育所の保育を「養護(生命の保持と情緒の安定)」と「教育(健康・人間関係・環境・言葉・表現の5領域)」の一体的展開として位置付ける。幼稚園教育要領・幼保連携型認定こども園教育・保育要領と5歳児の教育内容が共通化され、幼保の接続・連携が制度上明確にされた。この共通化により、認定こども園への一元化や幼保小(幼稚園・保育所・小学校)の連携強化がしやすくなっている。養護と教育を切り分けず一体で行うという考え方は、生活そのものを土台として子どもの育ちを支える保育所保育の本質を示している。指針が幼稚園や認定こども園と内容をそろえたことで、どの施設に通っても幼児期にふさわしい育ちが保障される基盤が整えられた。
保育の質の評価と向上
指針は「保育所における自己評価」(保育士等による評価・施設長による評価・保護者等を交えた評価)の実施を定め(指針第1章5)、実施結果の公表を義務付ける。都道府県・市区町村は公立・私立保育所の保育の質の向上のため、研修体制の整備(保育士等キャリアアップ研修・初任者研修等)と保育所への支援・指導を行う。第三者評価(保育所の自主的な評価受審)は義務ではないが、都道府県が実施を奨励・補助する場合がある。保育の質は子どもの育ちに直結するが、目に見えにくく数値化も難しい。自己評価や第三者評価、職員研修を組み合わせて質を継続的に点検し向上させる仕組みを整えることが、保育所と自治体に共通する課題となる。
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