ジチテン

行政相談

読み:ぎょうせいそうだん

意味

行政相談とは、国・地方公共団体の行政の仕事に関する苦情・意見・要望を受け付け、行政運営の改善につなげる制度のことである。総務省・各管区行政評価局・行政評価事務所および総務大臣が委嘱した「行政相談委員」(民間ボランティア)が相談窓口を担い、申し出の処理を関係行政機関に促す。

行政の仕事に苦情や疑問があっても、住民はどこに言えばよいか分からず、縦割りの窓口をたらい回しにされることが少なくない。行政相談は、国・地方公共団体の行政に関する苦情・意見・要望を受け付けて行政運営の改善につなげる制度であり、住民の身近な相談の受け皿となって声を行政に橋渡しするところに本質がある。

行政相談委員法(昭和41年法律第99号)に基づき、全国の市区町村に1名以上の行政相談委員が置かれる。委員は弁護士・元公務員・地域の信頼ある市民などが総務大臣から委嘱される民間ボランティアで、住民の苦情・要望を受けて総務省行政評価局などに取り次ぎ改善を促す。相談内容は年金・税・道路・許認可など国の行政から、都道府県・市区町村の行政サービスまで広範にわたる。

行政相談委員の役割と相談方法

行政相談委員は市区町村に1名以上配置され(全国で約5,000名:2024年時点)、定期的な相談会を市区町村の公民館・コミュニティセンター等で開催する。相談は無料・秘密厳守で行われ、委員は相談者の申し出を聞いて関係機関に改善・説明を求める。ただし行政相談は「あっせん」機能(間に入って調整する)を持つが、行政処分を直接変更させる法的拘束力はない。相談者が行政の不服申立て(異議申立て・審査請求等)を希望する場合は、別途それぞれの不服申立て制度を利用するよう案内する。

総務省の行政評価・監視機能

総務省(行政評価局・各管区行政評価局)は行政相談で受け付けた苦情・要望を集積・分析し、行政の問題点を調査して改善勧告・意見を出す「行政評価・監視」機能を持つ。この機能により、個々の行政相談案件が「制度的な行政の問題点」として浮き彫りになった場合、省庁への勧告で制度改正・運用改善につながる。市区町村の担当者が行政相談委員との連絡・調整の窓口を担い、相談委員から寄せられた市の行政に関する苦情を担当部署へ伝達・対応する役割を果たす。

首長・議会への陳情との違い

行政相談は総務省系統の行政内部の「苦情処理・改善促進」制度であるのに対し、首長・市議会への陳情は自治体の意思決定プロセスに住民意見を直接届ける手段である。オンブズマン制度(条例に基づく行政苦情処理機関)を設けている自治体では、独立した第三者機関が行政の違法・不当な行為を調査・勧告する機能を持ち、行政相談(行政内部の相互チェック)とは性格が異なる。行政相談は処分を直接変える力を持たないが、無料で気軽に持ち込める身近な窓口であり、住民にとっては苦情の入口として、行政にとっては運用改善の手がかりを集める仕組みとして機能する。

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