部分開示とは、情報公開請求や開示請求に対し、請求された文書に不開示情報が含まれる場合に、その部分を除いて残りを開示する処分をいう。不開示部分は黒塗りなどで覆い、開示できる部分だけを出す。
一枚の文書に、出せる情報と出せない個人情報が混在しているとき、全部を不開示にすれば説明責任を欠き、全部を開示すれば第三者の権利を害する——その板挟みを解く実務の解が部分開示である。情報公開法・条例は、不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができ、かつ区分して除いた残りの部分に有意の情報が記録されている場合には、その部分を開示しなければならないと定める。実務では、氏名・住所などの個人情報や法人の営業上の秘密に当たる箇所をマスキング(黒塗り)し、それ以外を開示する形が典型である。どこまでが不開示情報で、どこを区分して開示できるかの線引きが判断の核心で、過度に広く黒塗りすれば実質的に不開示と変わらず、争訟で開示を命じられることもある。請求者が部分開示に不服なら、不開示とされた部分について審査請求ができる。
「区分して除く」ことができるかが分かれ目
部分開示が成り立つのは、不開示情報が記録された部分を容易に区分して除くことができ、かつ残りに意味のある情報が残る場合に限られる。たとえば申請書のうち申請者の氏名・住所だけが個人情報なら、その欄を覆って他を開示する。逆に、文書全体が不可分に不開示情報と結びついていて一部だけ取り出せない場合や、黒塗り後に残るのが断片的で意味をなさない場合は、部分開示ではなく全部不開示となる。実務上は、個人を識別する記述をどこまで消すか(氏名だけか、推知できる属性まで消すか)の判断が難しく、消しすぎれば説明責任を損ない、消し足りなければ第三者の権利を害するため、不開示事由ごとに範囲を吟味する。
過剰なマスキングと争訟
部分開示の判断で最も争われるのは、不開示とした範囲が広すぎないかである。開示できるはずの部分まで黒塗りすれば、形式上は部分開示でも実質的に不開示に近づき、請求者は不開示部分について審査請求や取消訴訟で争える。審査請求では情報公開・個人情報保護審査会が現物を見分(インカメラ審理)し、黒塗りの当否を不開示事由ごとに精査する。答申で「この部分は開示すべき」とされれば、マスキングを緩めて再度開示することになる。したがって部分開示の起案では、不開示とする一つひとつの箇所について、どの不開示事由に当たるかを説明できるよう整理しておくことが、後の争訟に耐える要点になる。
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