逓次繰越とは、継続費の毎年度の年割額のうち年度内に支出を終わらなかった額を、その継続費の継続年度の範囲内で翌年度以降へ順次繰り越して使用できる制度であり、地方自治法施行令第145条第1項に基づく会計年度独立の原則の例外の一つである。
逓次繰越は、継続費という予算制度に固有の繰越しの仕組みである。継続費は、複数年度にわたる工事等について総額と各年度の年割額をあらかじめ議会が議決する制度だが、工事の進捗により、ある年度の年割額が予定どおり支出されないことがある。このとき、支出されなかった年割額を継続費の継続年度の範囲内で翌年度以降へ繰り越して使えるようにするのが逓次繰越である。地方自治法施行令第145条第1項を根拠とし、会計年度独立の原則の例外として、繰越明許費・事故繰越しと並び位置づけられる。繰越明許費や事故繰越しが単年度予算の経費を翌年度に繰り越すのに対し、逓次繰越はあくまで継続費の年割額の範囲内での繰越しであり、継続費の総額や継続年度を超えて使うことはできない。実務では、継続費を設定した大規模工事で、出来高に応じて年割額の繰越しを管理する場面で用いられる。
継続費における年割額の繰越し
継続費は、複数年度にわたる事業の総額と、各年度に支出する年割額を議会の議決で定める予算制度である。工事の出来高や事業の進捗は計画どおりに進むとは限らず、ある年度の年割額の一部が年度内に支出されないことがある。逓次繰越は、この未支出となった年割額を、継続費の継続年度の終わりまでの間、翌年度以降へ順次(逓次)繰り越して使用することを認める仕組みである。これにより、継続費を設定した事業は、各年度の年割額に縛られすぎることなく、継続年度全体の中で柔軟に予算を執行できる。繰り越せるのはあくまで議決された継続費の枠内の年割額であり、総額や継続年度そのものを延長・増額するものではない。
他の繰越制度との違い
会計年度独立の原則の例外として翌年度への繰越しを認める制度には、繰越明許費・事故繰越し・継続費の逓次繰越の三つがある。繰越明許費と事故繰越しは、いずれも単年度の歳出予算に計上された経費を翌年度に繰り越すものであるのに対し、逓次繰越は継続費という複数年度予算の年割額を対象とする点が根本的に異なる。また、繰越明許費が事前の議会議決によって繰越しの枠を設定し、事故繰越しが避けがたい事故への事後的な対応であるのに対し、逓次繰越は継続費の議決の中に繰越しの仕組みがあらかじめ含まれている。したがって、逓次繰越のために別途の議決を要しない点も、他の二つと対比される特徴である。
手続と管理上の留意点
逓次繰越を行った場合、普通地方公共団体の長は継続費繰越計算書を調製し、翌年度の議会へ報告する。これにより、どの年度の年割額をいくら繰り越したかが明らかにされ、継続費全体の執行状況が議会と住民に対して透明化される。管理上は、継続費の総額・継続年度・各年度の年割額と、実際の出来高・支出済額・繰越額を対応させて把握する必要があり、繰越しが継続年度の最終年度を超えないよう注意を要する。継続年度の終了時点で支出されずに残った額は、原則として執行できなくなる。実務では、継続費を設定した大規模建設事業で、財政担当課と事業課が年度末の出来高を確認し、繰り越す年割額を確定して繰越計算書を取りまとめる流れが一般的である。
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