ジチテン

所有者不明土地

読み:しょゆうしゃふめいとち

意味

所有者不明土地とは、不動産登記簿で確認できる所有者が死亡しているにもかかわらず相続登記がなされていない、または登記簿の住所が変更されていないために所有者の現住所が判明しない土地のことで、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(平成30年法律第49号)等に基づく施策の対象となる。

登記簿をたどっても所有者が分からない土地は、公共事業の用地取得も災害復旧も農地の集約も止めてしまい、隣接地の管理にも支障をきたす。所有者不明土地は、相続登記がされず、または住所変更が反映されずに現所有者が判明しない土地であり、放置された土地が公共事業や土地利用を広く阻む問題として施策の対象となるところに本質がある(所有者不明土地特措法等)。

全国の土地の約20%(2017年・国土交通省推計)に上るとされる。原因は、相続登記が法律上の義務でなかったこと(令和6年4月施行の改正で義務化)、複数の相続人が手続きをしないまま放置すること、高齢化や都市への人口集中で農山村の土地が管理されない財産となっていることにある。

所有者不明土地特措法の内容

所有者不明土地法(平成30年法律第49号)は、公共的な目的で所有者が判明しない土地を最長10年使用できる「地域福利増進事業」、所有者探索のための登記・住民票戸籍などの公的資料の閲覧制度の整備、農地・林地の所有者不明化への対応措置を定める。令和4年(2022年)の民法・不動産登記法・特措法の改正で、相続登記の義務化(令和6年4月施行)・相続人申告登記制度(仮登記に代わる簡易な手続き)・所有者不明土地・建物の管理制度(家庭裁判所による管理人選任)が新設された。

相続登記義務化の実務への影響

令和6年(2024年)4月1日から施行された相続登記の義務化(不動産登記法の改正)により、相続によって不動産を取得した相続人は3年以内に登記申請をする義務を負い、正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料(行政罰)の対象となる。同改正は施行前に発生した相続にも適用(施行後3年以内または相続を知ってから3年以内のいずれか遅い日まで)。自治体固定資産税担当課・法務局と連携した周知活動が重要となる。

公共事業への影響と対応

市区町村道路整備・公園整備などの公共事業を行う際に所有者不明土地が支障となる場合、公共収用の手続きを経て土地を使用する土地収用法の特例、所有者不明土地特措法の地域福利増進事業の活用、補償金を供託して工事を進める法務局への供託などの手段が取り得る。所有者が後日判明した場合の補償支払い義務が生じるため、供託金の適正算定が重要となる。所有者不明土地は用地交渉の相手が見つからないだけで事業全体が止まりかねないため、事業の早い段階で土地の権利関係を調べ、収用や供託といった手段を見据えて準備しておくことが事業の遅延を防ぐ鍵となる。

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