精神保健福祉センターとは、精神保健福祉法に基づき都道府県・指定都市に設置される、精神保健および精神障害者の福祉に関する技術的中枢機関をいう。
市町村や保健所では対応しきれない複雑な精神保健の事案を、誰が専門的に支えるのか。その都道府県域の技術的な後ろ盾となるのが精神保健福祉センターである。
センターは、精神保健福祉に関する知識の普及や調査研究のほか、保健所・市町村への技術指導や援助、困難ケースの相談、医師による診療を担う。精神医療審査会の事務局として、医療保護入院や措置入院の入院届・退院請求を審査する実務もここが担当する。また精神障害者保健福祉手帳の判定、自立支援医療(精神通院医療)の支給認定にかかる判定も中心的な業務である。住民が直接訪れる一次相談は保健所や市町村が担い、その後方で専門的・技術的に支えるのがセンターという役割分担になっている。複雑な依存症や思春期の事案など、地域では抱えきれない領域の専門相談窓口としても機能する。
三層構造のなかでの位置
精神保健福祉行政は、住民に最も近い市町村、保健衛生の専門機関である保健所、そして都道府県域の技術的中枢である精神保健福祉センターという三層で動く。市町村は手帳・自立支援医療の申請受付や日常的な相談を、保健所は地域の精神保健活動の第一線を担い、センターはその両者を技術面から支える。一次対応をセンターが直接担うわけではなく、保健所・市町村では判断が難しい事案の後方支援と、都道府県全域に共通する判定・審査の機能を引き受ける点が特徴である。この役割分担を取り違えると、住民をたらい回しにする原因になるため、窓口担当が押さえておくべき前提となる。
精神医療審査会の事務をめぐる独立性
センターは精神医療審査会の事務局を務めるが、審査会は非自発的入院(医療保護入院・措置入院)の妥当性や退院請求を判断する準司法的な機関であり、行政や病院から独立した判断が要る。事務局がセンターに置かれているのは専門的な事務処理能力のためだが、入院を決める実施機関側の事務とは切り分けて運営される必要がある。患者の人権擁護に直結する機能であり、入院手続の適正を担保する制度上の要として、退院後生活環境相談員や病院の手続と連動して動く。
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