救急安心センター事業(♯7119)とは、急な病気やけがの際に住民が短縮ダイヤル♯7119で電話相談し、医師や看護師等から救急車を呼ぶべきか、すぐ受診すべきかの助言を受けられる電話相談窓口であり、総務省消防庁が全国展開を進めている事業である。
救急車を呼ぶべきか、それとも朝まで待って受診すればよいのか——その迷いを119番にぶつける前の相談先が♯7119である。看護師等の相談員が症状を聞き取り、緊急度判定のプロトコルに沿って、救急車の要請、すぐの受診、翌日の受診といった行き先を案内する。狙いは軽症者の救急要請を減らすことだけではない。本人が「たいしたことはない」と思い込んでいる脳卒中や心筋梗塞の初期症状を聞き取りで拾い、相談から救急出動へつなぐ発掘の機能を併せ持つ。救急出動件数の増加で現場到着時間が延び続けるなか、限られた救急隊を本当に急ぐ傷病者へ振り向ける需要側の対策として位置付けられ、2007年に東京消防庁が始めた救急相談センターを先駆けに、都道府県単位を中心とした導入が広がってきた。導入には24時間対応する医師・看護師の確保と運営費が壁になるため、未実施地域の解消が全国展開の課題である。
抑制と発掘の両面——「呼び控え」対策でもある
♯7119の効果は救急車の適正利用の文脈で語られることが多いが、出動の抑制は半面にすぎない。相談の入口を用意することで、救急要請をためらう高齢者などの「呼び控え」による手遅れを防ぐ安全弁としても働く。相談員は緊急度判定プロトコルに基づき聞き取りを行い、緊急性が高いと判定すれば相談をそのまま救急出動につなぐ。導入地域の分析では、軽症出動の比率低下と相談件数の増加が併走しており、住民が「迷ったら相談する」行動を学習していくことが事業の成果指標になる。小児については全国展開済みの子ども医療電話相談(♯8000)が先行しており、対象年齢で入口を分ける案内が必要になる。
実施主体と費用——都道府県単位が主流
実施主体は都道府県、市町村またはその共同であり、複数の消防本部と医療機関をまたぐ広域運用になるため都道府県単位の導入が主流である。運営は医師の監修の下で看護師等の相談員が24時間対応する体制が基本で、人件費を中心とする運営費の負担と相談員の確保が導入の最大の壁になっている。総務省消防庁は導入効果の調査や財政措置の周知で全国展開を後押ししており、未導入地域では住民が直接119番に相談をかける構図が残るため、消防指令業務の負荷軽減の面からも導入が促されている。
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