困難女性支援法とは、生活困難・暴力被害・性被害など個々の事情で日常生活に困難を抱える女性を、福祉の増進と人権の尊重・男女平等を旨として支援するための法律である。
DV被害や生活困窮を抱える女性が窓口に来たとき、どの法律を根拠に保護や自立支援を組み立てるのか。従来、女性保護は売春防止法を根拠とする婦人保護事業の枠組みで運用されてきたが、対象が性売買から離れた現代の困難実態に合わなくなっていた。困難女性支援法は2022年に成立し2024年4月に施行された新法で、売春防止法から女性支援を切り離し、当事者中心・early intervention・関係機関の連携という現代的な理念で再構築した。都道府県に女性相談支援センターの設置を義務付け、市町村にも基本計画の策定努力義務を課す。婦人相談所は女性相談支援センター、婦人相談員は女性相談支援員、婦人保護施設は女性自立支援施設へと名称・位置付けが改められた。
売春防止法からの分離と再構築
旧来の女性保護は、1956年の売春防止法第4章を根拠とする婦人保護事業として運用されてきた。保護更生を建前とする枠組みは、DV・性暴力・生活困窮・若年女性の妊娠など、現に女性が抱える困難の広がりと乖離していた。困難女性支援法は売春防止法から女性支援を独立させ、当事者の意思を尊重した自立支援、困難が深刻化する前の早期の関わり、民間団体との協働を基本理念に据えた。施行は2024年4月で、自治体には条例・計画の整備、相談支援員の確保、一時保護から自立に至る支援の連続性の確保が課題となる。保護更生から人権の尊重と自立支援へという理念の転換が、この法律の最大の眼目である。
自治体に求められる体制
都道府県には女性相談支援センターの設置義務があり、市町村は女性相談支援センターの設置が任意、基本計画の策定が努力義務とされる。支援は相談・一時保護・自立支援・アフターケアの段階で構成され、福祉事務所・児童相談所・配偶者暴力相談支援センター・民間支援団体との連携が前提となる。従来の縦割りでは拾えなかった複合的な困難に対し、関係機関と民間団体で構成する支援調整会議を法的に位置付け、個々の女性の状況に応じた支援を協議する仕組みを設けた点が運用上の柱である。民間団体を対等な協働の相手として明記したことも、行政主導の旧来枠組みからの転換を示す。
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