拡大生産者責任(EPR)とは、製品の生産者が、その製品が使用され廃棄された後の段階まで一定の責任を負うべきだとする考え方である。設計から廃棄後の回収、リサイクルまでを生産者の責任範囲に広げることで、環境負荷の小さい製品づくりを促す原則をいう。
製品を作って売るところまでが生産者の仕事で、捨てた後の処理は自治体や消費者の問題——長くそう考えられてきた。拡大生産者責任は、この線引きを問い直し、製品が廃棄物になった後の負担まで生産者に広げる考え方である。
もともとはOECDが整理した原則で、生産者に廃棄後の責任を負わせれば、回収やリサイクルがしやすい製品、そもそも廃棄物になりにくい製品を作る動機が生まれる、という発想に立つ。日本では循環型社会形成推進基本法がこの考え方を取り入れ、容器包装リサイクル法や家電リサイクル法などの個別法で、生産者が再商品化の費用や引取りの義務を負う形で具体化されている。ただし責任の負わせ方は国や品目によって幅があり、費用だけを負担させる方式から、物理的な回収まで義務づける方式まで様々である。
物理的責任と財政的責任
拡大生産者責任で生産者が負う責任は、大きく物理的責任と財政的責任に分けて理解される。物理的責任は、使用済みの製品を生産者自身が引き取り、リサイクルや処分まで実際に行う責任である。財政的責任は、回収やリサイクルにかかる費用を生産者が負担する責任で、実際の作業は他者が担ってもよい。日本の個別リサイクル法は、この組み合わせ方が品目で異なる。家電リサイクル法では、製造業者が使用済み家電を引き取って再商品化する物理的責任を負う一方、容器包装リサイクル法では、市町村が分別収集を担い、事業者は再商品化の費用を負担する財政的責任を中心に負う。どちらの方式をとるかで、自治体と事業者の役割分担と費用の流れが大きく変わる。
日本での導入の広がりと限界
日本は拡大生産者責任を、すべての製品に一律に課す形ではなく、循環型社会形成推進基本法で理念を掲げたうえで、品目ごとの個別法によって部分的に導入してきた。容器包装、家電四品目、自動車、小型家電などでは、生産者が費用や引取りの責任を負う仕組みが整えられている。一方で、これらの制度では責任の範囲が再商品化の費用や使用済み品の引取りにとどまり、製品設計の段階まで踏み込んで環境配慮を強く義務づけるには至っていないとの指摘もある。また、容器包装リサイクル法のように収集を自治体が担う制度では、社会全体の費用のうち相当部分が税で賄われ、生産者の負担割合をどこまで高めるかが繰り返し議論されてきた。拡大生産者責任をより徹底し、廃棄物を出さない製品づくりの動機を強めることが、制度共通の課題となっている。
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