書かない窓口とは、住民が申請書や届出書を自ら手書きせずに手続きを行える窓口サービスの形態である。職員が聞き取りやマイナンバーカード等の読み取りで得た情報をもとに申請書を作成・出力し、住民は内容を確認して署名するだけで済む。
転入や出生、死亡に伴う手続きでは、住民は氏名や住所を何枚もの申請書に繰り返し書かされ、どの書類が必要かも分かりにくい。書かない窓口は、この記入の負担と分かりにくさを職員側が引き受ける発想の窓口で、住民記録システムにある情報を職員が呼び出して申請書を作り、住民は署名で確認する。北海道北見市が2016年に「窓口支援システム」を導入したのが先行例として知られ、その後デジタル庁が「窓口DXSaaS」として全国展開を後押ししている。
複数の手続きを一か所で完結させるワンストップ窓口と組み合わせて「書かないワンストップ窓口」と呼ばれることも多いが、両者は別の発想である。書かない窓口が記入という作業を減らすのに対し、ワンストップ窓口は住民が課を渡り歩く移動を減らす。実現には、申請書の様式や事務処理の流れそのものを見直す業務改革(BPR)が前提となる。
申請書を職員が代行作成する仕組み
書かない窓口では、来庁した住民から本人確認書類やマイナンバーカードを示してもらい、職員が住民記録システムなどに登録された情報を呼び出して必要な手続きを判別する。転入や出生、死亡といったライフイベントごとに関連する手続きを洗い出し、申請書や届出書を職員がパソコン上で作成して印刷し、住民は記載内容を確認して署名するだけで済む。北海道北見市が2016年に北見コンピュータ・ビジネスと共同開発した「窓口支援システム」を導入したのが先行例として知られ、住民が同じ氏名や住所を何度も書き写す負担と、記入誤りによる差し戻しを減らす狙いがある。
窓口BPRとデジタル庁による全国展開
書かない窓口を実現するには、機器や様式を導入するだけでなく、申請書の様式や課をまたぐ事務処理の流れそのものを見直す業務改革(BPR)が前提となる。様式や帳票が自治体ごとにばらばらだとシステムを個別に作り込むことになり重複投資を招くため、デジタル庁はガバメントクラウド上で動く標準的なサービス「窓口DXSaaS」を整備し、先行自治体の仕組みを全国へ広げようとしている。複数の手続きを一か所で完結させるワンストップ窓口と組み合わせて「書かないワンストップ窓口」として導入されることも多いが、記入の負担を減らす書かない窓口と、移動の負担を減らすワンストップ窓口は、目的の異なる別の取組である。
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