開発指導要綱とは、一定規模以上の開発行為に対し、公共施設の整備や負担金などを開発者へ求めるため、市町村が行政指導の基準として定める内部的な要綱である。
開発許可制度だけでは、開発に伴って必要になる学校・公園・上下水道などの公共施設の整備費を、誰がどこまで負担するかを十分にカバーできない。高度成長期の急激な宅地開発で公共施設の整備が追いつかなかった反省から、全国の市町村が独自に開発指導要綱を定め、開発者に対して公共施設用地の提供や整備、開発負担金の納付などを行政指導で求めてきた。要綱は条例と異なり議会の議決を経ない内部基準であり、法的な強制力はなく、あくまで指導・協議の根拠にとどまる。過度な負担を求める要綱が裁判で違法とされた例もあり、近年は要綱の内容を条例化したり、根拠を法令に求めたりする動きがある。開発者との協議の出発点となる文書である。
要綱行政の背景と限界
開発指導要綱は、いわゆる要綱行政の代表例である。1960年代から70年代にかけての急激な宅地開発で、開発に伴う学校・公園・道路・上下水道などの公共施設の整備が市町村の財政を圧迫した。開発許可制度はこうした費用負担を十分に律する仕組みを持たなかったため、各地の市町村が独自に要綱を定め、開発者に用地提供・施設整備・負担金を求めた。要綱は議会の議決を要しない行政内部の基準であり、機動的に定められる反面、住民や開発者の権利義務を直接に拘束する法的効力を持たない。あくまで行政指導の基準であり、相手方の任意の協力を前提とする点に、要綱行政の本質的な限界がある。
行政指導の限界と適法性
開発指導要綱に基づく指導は行政指導であり、相手方の任意の協力によってのみ実現されるべきものである。過去には、要綱に従わない開発者に対して給水を拒否したり建築確認を留保したりして事実上強制した事例があり、裁判で違法と判断されたものもある。最高裁は、行政指導への不協力を理由に給水契約の締結を拒むことは原則として許されないとし、また指導継続中であっても相手方が真摯に不協力の意思を表明した場合には確認処分の留保は違法になりうるとした。これらを受け、行政手続法は行政指導の一般原則を定め、相手方の任意の協力によること、不利益な取扱いの禁止を明確にした。現在の開発指導は、こうした適法性の枠内で、開発者との協議として進められる。
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