回付とは、文書を次に処理すべき担当者や部署へ順に送り渡すことをいう。庁内では起案文書を決裁経路に沿って回す動作や、収受した文書を主管課へ引き渡す動作を指して使う。
一つの文書を誰がどの順で見て押印するかが決まっていなければ、決裁は止まり、収受した文書は宙に浮く。回付はこの流れを作る基本動作で、文書を「回して付ける(渡す)」ことで処理の責任が次の者へ移る。起案から決裁までの内部の流れでは回議と重なって使われる一方、外部から届いた文書を仕分けて担当課へ送る場面では、回議とは区別して「収受文書を回付する」のように使う。回付の途中で内容に疑義があれば、文書を前の段階へ戻す差し戻しが起き、回付経路は一方向に進むとは限らない。電子決裁システムの普及で紙を物理的に回す回付は減ったが、システム上で承認を次の者へ送る操作を引き続き回付と呼ぶ庁が多く、画面の「回付先」「回付待ち」といった表示にこの語が残っている。
回議との重なりと使い分け
回付と回議は内部文書を回す場面でほぼ同義に使われるが、語感に差がある。回議は「議を回す」、すなわち決裁権者の決裁を得るために起案文書を経路上の上司へ順次回して確認・押印を求める手続きを指し、決裁という目的が前面に出る。これに対し回付は「次の者へ送り渡す」動作そのものを指し、決裁経路に限らず、収受文書を主管課へ渡す、参考文書を関係課へ送る、といった目的を問わない移動に広く使う。このため「決裁のために回す」文脈では回議、「とにかく次へ送る」文脈では回付が選ばれやすい。庁内規程では用語を厳密に定義していないことも多く、同じ動作を回議と書く庁と回付と書く庁が混在する。
収受文書の回付と主管課の決定
外部から届いた文書を担当課へ送る回付では、その文書を誰が処理すべきか(どこが主管課か)の判断が先に立つ。文書取扱の担当である総務課や文書主管課がいったん収受し、内容から所掌に照らして主管課を見極めて回付する。所掌が複数課にまたがる文書では、主管課をどこにするかで回付先が割れ、押し付け合いや二重処理の火種になる。このため文書事務規程では、収受から回付までの責任の所在と、所掌が不明確な文書の調整方法をあらかじめ定めていることが多い。
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