地震が断層のずれという「現象」であるのに対し、地震動はそれによって発生し地盤を伝わって地表に達する「揺れ」そのものを指す。同じ規模の地震でも、震源からの距離や地盤の固さ、堆積層の厚さによって各地点の揺れ方は大きく異なり、これを定量化したのが震度や加速度・速度といった指標である。自治体の地震被害想定では、震源断層モデルから対象地域の地震動を推計し、その分布をもとに建物被害や人的被害を見積もるため、地震動の評価は防災計画の出発点となる。気象庁の緊急地震速報は、震源近くで観測した初期微動から各地の地震動の到達と強さを予測して伝える仕組みである。構造物の耐震設計でも、想定する地震動の強さと周期特性が設計の前提条件となり、固有周期の長い超高層建築物では長周期地震動の影響が重視される。
揺れの周期と構造物——なぜ周期が問題になるか
地震動には短い周期から長い周期まで様々な成分が含まれ、どの周期の揺れが強いかによって被害を受けやすい構造物が異なる。木造住宅のように固有周期の短い建物は短周期の揺れで、超高層ビルや大型石油タンクのように固有周期の長い構造物は長周期地震動で、それぞれ共振して大きく揺れやすい。長周期地震動は減衰しにくく、震源から離れた平野部の堆積盆地で増幅されるため、遠方の大都市でも被害をもたらす。気象庁は2023年から長周期地震動階級を緊急地震速報の発表対象に加え、高層階での家具移動などへの注意喚起を行っている。
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