中小企業診断士とは、中小企業支援法(昭和38年法律第147号)に基づき経済産業大臣が登録する、中小企業の経営診断・経営助言を担う専門家である。中小企業に関する唯一の国家資格で、登録の有効期間は5年である。
自治体が創業相談窓口や経営改善の伴走支援を整えるとき、誰に助言役を委ねるかが問われる。税理士は税務、弁護士は法務に強いが、経営全般を俯瞰して事業計画や資金繰りまで見渡せる助言者として制度化されているのが中小企業診断士である。
第1次試験(経済学・財務会計・企業経営理論など7科目)と第2次試験(事例の記述・口述)を経て、実務補習または実務従事を満たすと登録される。登録後も5年ごとに理論政策更新研修の受講と実務従事の実績がなければ更新できない更新制をとる。自治体は商工会・商工会議所の経営指導員と並ぶ外部専門家として、よろず支援拠点や創業支援、事業承継の相談に診断士を起用する。経営革新計画や小規模事業者持続化補助金の事業計画づくりでも、診断士の助言が申請の質を左右する場面が多い。資格者は企業内で働く者と独立開業する者に分かれ、自治体施策が起用するのは主に後者である。
経営指導員・他士業との役割の違い
自治体の中小企業支援の現場には、商工会・商工会議所の経営指導員、税理士、社会保険労務士、そして中小企業診断士が併存する。経営指導員は地域の小規模事業者に密着して記帳・金融・税務の一次相談を無料で担う一方、診断士は経営戦略・マーケティング・財務分析を横断する経営全体の設計を引き受ける。税理士の独占業務である税務代理や社労士の労務手続のような業務独占は診断士にはなく、資格の価値は「経営を診る」という機能の標準化にある。よろず支援拠点のコーディネーターや事業承継・引継ぎ支援センターの相談員に診断士が多く配置されるのは、この横断性ゆえである。
補助金・計画認定の伴走役としての位置づけ
中小企業向けの補助金や計画認定では、事業計画書の完成度が採否を分ける。小規模事業者持続化補助金や経営革新計画の承認申請では、市場分析・収支計画・実現可能性を第三者の目で組み立てる必要があり、ここで診断士が伴走する。経営革新計画の承認や経営力向上計画の認定では、認定支援機関として登録した診断士の関与が手続を円滑にする。自治体は補助金の上乗せや専門家派遣の費用助成という形で、この伴走に間接的に財政支援を行うことがある。
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