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ジチテン

資源物持ち去り

読み:しげんぶつもちさり

別名:資源ごみ持ち去り
意味

資源物持ち去りとは、ごみ集積所や資源回収場所に排出された古紙・金属類などの資源物を、市区町村や受託業者など収集権限のある者以外が無断で収集・運搬して売却する行為をいう。

集積所に出された新聞紙の束を、収集車が来る前にトラックが回収していく。住民から「あれは市の車ではない」と通報が入ったとき、何を根拠に止められるのか。持ち去られた古紙やアルミ缶は売却され、本来は市区町村の資源化収入や集団回収団体の活動資金になるはずの価値が流出する。古紙・金属の市況が上がるたびに被害は増え、住民が分別協力の意味を疑う事態にもつながるため、収集権限のない者による収集・運搬を条例で禁止し、命令や罰金で対抗する市区が広がった。排出されたごみの所有権は誰のものかという法律論(捨てられた物は無主物であり先に占有した者の物だ、という持ち去り側の主張)に正面から踏み込む代わりに、「所定の場所からの収集・運搬の禁止」という行為規制で構成するのが条例の定石で、その有効性は世田谷区の事件で裁判所の判断が確定している。廃棄物処理法そのものには持ち去りを直接処罰する規定がないため、条例こそがこの問題の主戦場である。

世田谷区事件——条例による規制の有効性が確定するまで

世田谷区は清掃・リサイクル条例に、区長が指定する場所に排出された一般廃棄物を収集権限のない者が収集・運搬してはならない旨の規定と、禁止命令違反への罰金(20万円以下、常習者は50万円以下)を設け、命令に従わず古紙の持ち去りを続けた業者を告発した。刑事裁判では、一審の東京簡易裁判所が規定の不明確さを理由に無罪としたが、東京高裁は2007年12月の判決で原判決を破棄して罰金刑を言い渡し、最高裁も2008年7月の決定でこれを維持して有罪が確定した。この確定を機に、罰則付きの持ち去り禁止規定を置く条例は東京23区から全国の市へ広がり、規定の書き方も世田谷型(禁止規定+命令+命令違反への罰金)が標準形になった。直罰か命令前置か、対象を資源物に限るか一般廃棄物全体とするかが立案時の主な分岐である。

現場の対策と買受け側への規制

罰則を置いても、行為者を特定し命令を送達しなければ発動できない。このため早朝のパトロール、職員と警察の合同警戒、持ち去り車両のナンバー記録と警告書の交付という地道な運用が対策の主体になる。持ち去られた古紙の流通経路を追跡する調査を実施した区もあり、買い取る側の古紙問屋に対して、持ち去り品と知りながらの買受けを禁じたり協力要請を行う規定を条例に置く例も出ている。集団回収の奨励金制度を持つ市区では、持ち去り被害が団体の回収量と奨励金額を直接減らすため、被害申告の窓口と回収日時の調整がリサイクル担当の定例業務になっている。

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