斜線制限とは、建築物の各部分の高さを、前面の道路の反対側の境界線や隣地の境界線などからの距離に応じて制限する高さの制限をいう(建築基準法)。道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限の三つの総称である。
高い建物が道路や隣の敷地のすぐきわまで迫れば、まわりは日当たりや風通し、空の見通しを奪われてしまう。斜線制限は、こうした事態を防ぐため、建物の高さを境界からの距離に応じて斜めの線で抑える高さの制限である。
境界線から一定の勾配で引いた斜めの線の内側に建物を収めることを求めるもので、距離が近い部分ほど高さが低く抑えられる。制限には、前面道路に面する側を抑える道路斜線制限、隣地との関係を抑える隣地斜線制限、北側の敷地の日照を守る北側斜線制限の三種類がある。どれが適用され、どの程度の勾配となるかは、用途地域などによって異なる。斜線制限は、容積率や建ぺい率による規模の制限、日影規制による日照の確保とともに、市街地の建物の形を整え、周囲の環境を守る役割を担う。建築の計画では、これらの制限の重なりのなかで建てられる形が決まる。
三種類の斜線とそれぞれのねらい
斜線制限は、守ろうとする環境の違いに応じて三つに分かれる。道路斜線制限は、前面道路の反対側の境界線を起点とする斜線で建物の高さを抑えるもので、道路に面する側の圧迫感を和らげ、道路の上空の見通しや採光を確保する。隣地斜線制限は、隣の敷地の境界線を起点とする斜線で、隣地の日照や通風、開放感を守る。北側斜線制限は、敷地の北側の境界を起点とする斜線で、北側に隣り合う敷地の日照を確保するためのもので、主に住居系の用途地域に適用される。それぞれ起点と勾配が異なり、用途地域によって適用の有無や厳しさが変わる。これらが組み合わさることで、建物の上部が斜めに削られたような形が生まれる。
他の高さ規制との役割分担
建築物の高さを抑える規制は、斜線制限だけではない。日影規制は、中高層の建物が周囲に落とす影の時間を一定以下に抑えることで、近隣の日照を守る規制で、斜線制限とは別の角度から高さを制約する。用途地域によっては、建物の高さそのものに上限を定める絶対高さの制限が設けられることもある。さらに、容積率は延べ床面積を、建ぺい率は建築面積を制限し、間接的に建物の規模を抑える。斜線制限は、これらのうち、境界からの距離に応じて高さを斜めに抑えることで、道路や隣地の環境を守る役割を担う。実際の建築の計画では、これら複数の規制のうち最も厳しいものが効いてくるため、設計では各規制を重ね合わせて、建てられる建物の形と規模を見定めることになる。
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