本文へスキップ
ジチテン

LoRaWAN

読み:ろーらわん

意味

LoRaWANとは、LoRa Allianceが策定したオープン規格のLPWA通信方式である。日本では免許不要の920MHz帯を使うため、通信事業者との回線契約に依存せず、自治体や企業が自前の基地局を設置して通信網(自営網)を構築できる。

通信事業者のサービスエリアに左右されず、市内全域のセンサー網を自前で張れる——LPWAの主要方式のうち、この選択肢を持つのはLoRaWANだけである。免許不要の920MHz帯を使うオープン規格なので、基地局の機器を調達して公共施設の屋上に取り付ければ、その日からそこが「圏内」になる。基地局1台で見通し数キロメートルをカバーでき、小中学校や庁舎が市内にまんべんなく分布する自治体は設置場所に困らない。富山市は98の公共施設にアンテナを置いて人口カバー率98.9%の市域網を整備し、児童の見守りや民間の実証実験に開放した。

自営網は月々の通信料がかからない一方、基地局の保守・更新と電波環境の管理を自分で負う。通信事業者が提供するLoRaWANサービスを利用する形態もあり、どちらを採るかは台数と期間、体制の見積もり次第である。比較対象になるSigfoxは単一事業者の全国網しか選べず、セルラー系のNB-IoTLTE-Mは確実なエリアと引き換えに回線契約が要る。自営という第三の道があることが、LoRaWANを自治体IoTの有力候補にしている。

富山市センサーネットワーク——自営網の実装例

富山市は市内の小中学校など98の公共施設にLoRaWANのアンテナ(基地局)を設置し、市の全人口約42万人の98.9%が居住する区域をカバーする通信網を整備した。市内にまんべんなく分布する自前の施設を設置場所に使える点が、自治体が自営網を張るときの優位である。この網を使った「こどもを見守る地域連携事業」では、児童が持つ端末の通過情報を収集して富山大学と共同で解析し、結果を小学校やPTA、自治振興会と共有した。市はセンサーネットワークを利活用する実証実験を毎年度公募し、公共施設の利用状況の可視化など民間事業者の提案を市の基盤の上で試させる方式をとる。通信網を単一の事業のためでなく共通基盤として整備し、複数の用途を相乗りさせる発想が、投資を回収する鍵になっている。

規格の作りと限界——LoRa変調・低速・送信時間制限

LoRaWANの物理層には、スペクトラム拡散変調のLoRa(ロラ)が使われる。LoRaが電波の変調方式の名前、LoRaWANがその上の通信手順を定めたオープン規格という関係で、両者は区別される。通信速度は毎秒0.3〜50キロビット程度と低速で、1回に送れるデータは小さく、上り(センサーから基地局へ)中心の設計である。日本の920MHz帯には電波法令に基づく送信時間の制限(キャリアセンスと送信休止)があり、連続的な送信はできない。画像や音声は運べず、水位、温度、位置、開閉のような数値データを間欠的に送る用途に割り切って使う。この制約は欠点ではなく低価格と長い電池寿命の源泉であり、要件が「小さなデータをまれに」から外れるなら、LTE-Mなど別方式を検討する局面である。

つながりのある用語

対比

ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)