教科書採択とは、学校で使用する教科用図書を検定済み教科書の中から決定する行為であり、公立学校では設置者である教育委員会がその権限を持つことをいう。
学校で使う教科書は誰がどう決めるのか。検定に合格した複数の教科書の中から実際に使用する一種を選ぶ行為が教科書採択であり、公立学校では市町村教育委員会など設置者である教育委員会に権限がある。市町村が単独で採択する場合のほか、複数の市町村が共同で採択する採択地区を設け、地区内の協議会で種目ごとに一種を選んで地区内で統一する仕組みがとられている。採択の対象となる教科書は4年ごとに変わるのが原則で、義務教育の教科書は無償給与制度のもとで児童生徒に配付される。採択の権限と責任が教育委員会にあることから、教科書採択は首長や総合教育会議の協議対象から外れ、教育の専門性と中立性を担保する領域として扱われる点が実務上の前提となる。
採択地区と採択の手続
公立小中学校で使用する教科書は、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律に基づき、都道府県教育委員会が設定する採択地区ごとに採択される。一つの市町村で一地区とする場合もあれば、複数の市町村で共同採択地区を構成する場合もあり、共同の場合は地区内の市町村教育委員会で組織する採択地区協議会の協議結果に基づいて各教育委員会が同一の教科書を採択する。採択にあたっては、教科ごとに調査員が検定済み教科書の内容を調査・研究し、その結果を踏まえて協議会や教育委員会が判断する。採択された教科書は同一の地区・種目で原則4年間継続して使用し、次の採択替えまで変更しないのが通例である。
採択権限の所在と中立性
教科書採択の権限は、公立学校では設置者である教育委員会、国立・私立学校では校長にある。教育委員会が権限を持つのは、教科書の選定が教育内容に直結し、政治的中立性と専門性を要するためである。この権限の所在は地方教育行政法上の教育委員会の職務権限に由来し、首長が主宰する総合教育会議の協議事項からも除外されている。採択の過程では、教科書発行者による営業活動の適正化や、調査研究の客観性の確保、採択結果と理由の公表といった透明性の確保が課題となる。教育委員会事務局の指導主事が調査研究の取りまとめや協議会の運営を担うことが多く、採択替えの年には事務負担が集中する。
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