ジチテン

工事完成保証人

読み:こうじかんせいほしょうにん

意味

工事完成保証人とは、請負者が工事を完成できなくなった場合に、その請負者に代わって工事を完成させる義務を負う者として契約に立てられる同業の建設業者をいう。

請負者が倒産や施工放棄で工事を投げ出したら、発注者は完成までの責任を誰に求めるのか。かつての公共工事では、契約締結時に発注者が請負者に対し、ほかの建設業者を工事完成保証人として立てさせる役務的保証の制度が広く用いられた。保証人は単に金銭を支払うのではなく、債務者が工事を完成できないときに自ら残りの工事を引き継いで完成させる義務を負う点に特徴がある。1990年代の公共工事のコスト縮減と保証制度の見直しのなかで、金銭保証である履行保証保険履行ボンドなどの金銭的保証へ切り替える流れが進み、現在は役務保証である工事完成保証人を求める発注者は限られる。古い契約約款や保証関連の規定を読み解く際に登場する概念である。

役務的保証としての性格

工事完成保証人の特徴は、保証の内容が金銭の支払ではなく工事の完成という役務に及ぶ点にある。主たる請負者が債務不履行に陥ったとき、保証人は発注者の求めに応じて残工事を引き継ぎ、当初の契約内容どおりに工事を完成させる義務を負う。このため保証人には主たる請負者と同等以上の施工能力を持つ同業者が立てられ、形式的には連帯保証に近いが、履行の対象が完成という結果である点で金銭保証と区別される。発注者にとっては工事の中断を避け確実に目的物を得られる利点があったが、保証人となる業者の負担が重く、保証の引受けが事実上の系列関係に依存しがちな弊害も指摘された。

金銭的保証への移行

建設省(現国土交通省)は1990年代に公共工事の保証制度を見直し、役務保証である工事完成保証人制度から、履行保証保険・履行ボンド・契約保証金といった金銭的保証へ転換する方針を示した。金銭的保証は、請負者の債務不履行時に発注者が保証金や保険金を受け取り、それを原資に別の業者へ残工事を発注し直す仕組みである。これにより保証人引受けをめぐる業者間の負担や不透明な関係を避け、保証の市場性と透明性を高めることが意図された。現在の公共工事標準請負契約約款は金銭的保証を基本とし、工事完成保証人を立てさせる運用はほとんど残っていない。過去の契約や古い約款を確認する場面で背景知識として押さえておきたい。

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