ジチテン

委任命令

読み:いにんめいれい

意味

委任命令とは、法律の委任に基づき、行政機関が国民の権利義務にかかわる新たな定めを設ける法規命令の一類型である。

省令政令の条文を読み込む担当者が確認すべきは、その定めが法律のどの条項の委任を受けているかである。この委任関係に支えられた命令が委任命令である。委任命令は、法律が自ら細目を定めず行政機関に規律を委ねた場合に、その授権の範囲内で権利義務を新たに定める。法律の執行に必要な手続を定めるにとどまる執行命令とは異なり、委任命令は実体的な規律を新設できる点に特色がある。ただし委任には限界があり、委任の趣旨を超えた定めや、委任する法律自体に基準のない白紙委任は許されない。判例は、委任の範囲を逸脱した命令を違法・無効と判断してきた。

委任の限界と司法審査

委任命令は授権法律の委任の趣旨・目的・範囲に拘束される。これを超える定めは委任の範囲を逸脱するものとして違法となる。最高裁は、法律の委任の趣旨に照らして命令の規定が許容されるかを実質的に審査しており、委任の範囲を超えた省令の規定を無効と判断した例がある。具体的には、医薬品のインターネット販売を一律に禁じた省令を、授権法律が規制を委ねた範囲を超えるとして無効とした判決や、非嫡出子の住民票続柄記載をめぐる省令の合理性が争われた事案などがある。白紙委任が許されないことの裏返しとして、命令の合憲性・適法性は、授権法律が委任の目的と基準をどこまで示していたかと一体で判断される。

執行命令との区別

執行命令は法律を執行するための手続的・技術的事項(申請書の様式、届出の方式、添付書類など)を定めるにとどまり、新たな権利義務を創設できない。これに対し委任命令は、法律の授権の下で実体的な権利義務を新設できる点で性質が異なる。両者はともに法規命令だが、委任命令は「何を規制し誰に義務を課すか」という実体を法律から委ねられて定めるのに対し、執行命令は「法律が定めた義務をどう履行させるか」という手続面を補うにすぎない。そのため執行命令には個別具体の委任規定が必須ではなく、法律を執行する権限から当然に認められると解されるのに対し、委任命令には授権法律の個別の委任規定が要り、その範囲を超えれば違法となる。実際の政令・省令は両者の性質を併せ持つ規定を含むことが多く、ある条項がいずれにあたるかは、その内容が私人の権利義務を新たに左右するかどうかで判断される。

つながりのある用語

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