包括的民間委託とは、業務委託の一形態で、一定の要求水準を満たすことを条件に手法を受託者の裁量に委ねる性能発注と複数年契約を基本とし、施設の運転・維持管理に係る複数の業務をまとめて民間事業者に委ねるものである。
主に下水道の処理場・ポンプ場や管路施設の維持管理で導入が進み、国土交通省が分野ごとの導入ガイドラインを示している。個別の業務を単年度で発注する従来の委託に比べ、複数業務の一括化と複数年契約により、民間事業者の創意工夫とスケールメリットを引き出すことを狙う。公の施設の管理運営を行政処分である指定によって委ねる指定管理者制度とは異なり、包括的民間委託はあくまで民法上の委託契約に基づく点で枠組みが異なる。
性能発注と複数年契約
包括的民間委託の中核は、発注者が作業の細目を逐一指定するのではなく、達成すべき性能(要求水準)を示し、その実現方法を受託者の裁量に委ねる性能発注の考え方にある。これに複数年契約を組み合わせることで、受託者は中長期の視点で人員配置や設備更新を計画でき、効率化や技術的工夫の余地が生まれる。下水道分野では、運転管理・保守点検・清掃・補修といった複数業務をパッケージ化して一括発注するのが一般的で、国土交通省は処理場等および管路施設について導入ガイドラインを公表している。従来の単年度・業務別の委託では得られにくい、業務横断の効率化とノウハウの蓄積を引き出すことが狙いである。
指定管理者制度との違い(契約と行政処分)
包括的民間委託としばしば比較されるのが指定管理者制度である。両者はいずれも公共サービスの提供に民間の力を活用する手段だが、法的な性格が異なる。指定管理者制度は地方自治法に基づき、公の施設の管理運営権限を行政処分である「指定」によって民間に委ねる仕組みで、指定管理者は施設の使用許可など一定の権限を持つ。これに対し包括的民間委託は民法上の請負・委任契約に基づく業務の委託であり、権限の移転を伴わない。施設の種類や、利用許可など公権力の行使を委ねる必要があるかどうかに応じて、どちらの枠組みを用いるかが選択される。
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