国が景気対策などで所得税・住民税の減税を決めると、税収を分け合う地方の側でも住民税収が制度的に目減りし、自治体には何の落ち度もないのに財源が欠ける。この欠損を自治体の歳出カットで吸収させれば、国の政策のしわ寄せを住民が負うことになる。そこで減税という政策判断に起因する地方税の減収分を借入で穴埋めし、後年度の交付税で財源措置する仕組みが減税補てん債である。同じく減収を補う減収補てん債が景気による見込み割れを対象とするのと違い、こちらは減税という制度変更そのものを引き金とする点で性質が分かれる。償還財源が交付税で裏打ちされるため、見かけは借金でも実質的な地方負担は限定される設計になっている。
「減収」を補う債との性質の分かれ目
減税補てん債は、名前も用途も近い減収補てん債としばしば混同されるが、両者は補てんする減収の発生原因で截然と分かれる。減税補てん債が対象とするのは、国が制度として減税を実施したことに伴う地方税の構造的な目減りであり、自治体が予算を組むときに既に見込まれている性質の減収である。一方、減収補てん債は、当初見込んだ税収が景気後退などで実際には入ってこなかった結果としての見込み割れを対象とし、原因は事後的な経済情勢にある。つまり減税補てん債は「政策で減らすと最初から分かっている減収」、減収補てん債は「取れると思ったのに取れなかった減収」を補う。いずれも元利償還金の相当額が後年度の普通交付税で措置されるため、実質的な地方負担は抑えられるが、財政運営の説明では発行の根拠となる減収原因を取り違えないことが要点になる。
ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)