病児保育とは、子ども・子育て支援法に基づく地域子ども・子育て支援事業の一つで、発熱等の疾病により保育所等に登園できない状態の子どもを、病院・保育所等に附設した専用施設で一時的に保育するサービスである。保護者が就労等のやむを得ない事情により自宅で保育できない場合に利用でき、厚生労働省の「病児保育事業実施要綱」に基づいて市区町村が実施主体となる。
子どもが熱を出して保育所に預けられない日、保護者は仕事を休まざるを得ず、就労との両立が立ち行かなくなる。病児保育は、疾病で保育所等に登園できない子どもを専用施設で一時的に保育するサービスであり、子どもの体調不良時にも保護者が就労を続けられるよう支えるところに本質がある(子ども・子育て支援法)。
提供形態は、病院・診療所に附設した専用スペースで看護師・保育士が対応する病児対応型、急性期を脱した回復期の子どもを保育する病後児対応型、保育中に体調不良となった子を施設内で一時的に対応する体調不良児対応型の三類型がある。事業費には国・都道府県・市区町村の負担割合が定められ国庫補助が充てられる。事前登録が必要な施設が多く、当日または前日に予約する仕組みが一般的である。
三つの事業類型
病児対応型は医療機関(病院・診療所)または保育施設に附設した病児保育室で実施され、急性期の疾患を抱えた子どもを看護師と保育士が連携して保育する。病後児対応型は医師が「病後回復期にあり、集団保育が困難だが入院の必要がない」と認めた子どもを対象とし、保育施設または保健センターに附設される。体調不良児対応型は保育所内の専用スペース(「ほっと・ルーム」等)で、軽症の体調不良児を一時的に対応することで保育所を退所させることなく親が就労を継続できるよう支援する。
運営上の課題:需給の季節変動と採算性
病児保育事業は、流行性疾患(インフルエンザ・RSウイルス等)が広がる冬季と平時での需要差が大きく、定員稼働率が極端に変動する。流行期は定員がすぐ埋まって待機が生じる一方、流行がない時期は稼働率が低くなる。このため独立採算が難しく、医療機関の持ち出しや自治体の単独補助によって運営を支えるケースが多い。定員充足率の低い時期でも看護師・保育士の人件費等の固定費が発生するため、施設数の確保には財政的な裏付けが不可欠である。
広域利用と登録手続きの簡素化
病児保育施設が少ない市区町村では、隣接市区町村の施設を利用できる広域利用協定を締結するケースがある。急な発熱時に事前登録を済ませていないと利用できない施設が多いため、出産後の早期に登録を促す周知が課題となる。電子申請による事前登録の簡素化や当日ウェブ予約システムの導入で利便性を高めた自治体もある。こども家庭庁は2023年以降、「こどもの居場所づくり」施策と連動して病児保育の整備促進を打ち出している。
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