要保護児童対策地域協議会とは、児童福祉法第25条の2に基づき市区町村が設置する、虐待を受けている児童や支援を要する妊産婦等の早期発見と保護を目的とした関係機関のネットワーク組織である。略称「要対協」で、児童相談所・保育所・学校・警察・医療機関等で構成され、参加機関には守秘義務が課される。
要保護児童対策地域協議会は、2000年代初頭の深刻な児童虐待死亡事例を受けて2004年(平成16年)の児童福祉法改正で法制化され(平成17年4月1日施行)、市区町村の努力義務(「置くよう努めなければならない」)として規定された。協議会は、要保護児童や支援を要する妊産婦等に関する情報を関係機関で交換し、支援の内容と役割分担を協議して決め、支援方針を評価・見直す機能を担う。
2022年(令和4年)の児童福祉法改正で、各市区町村に「こども家庭センター」が置かれ(同法第10条の2)、協議会の調整機関機能と一体的に運営される体制が整えられた。
三層構造と運営体制
要保護児童対策地域協議会は実務上、三つの層で運営される。各機関の管理職が出席して方針や活動状況を確認する代表者会議(年1〜2回程度)、担当者が個別ケースの進捗を情報交換する実務者会議(月1〜2回程度)、特定の要保護児童について支援方針を決める個別ケース検討会議(必要に応じて随時開催)である。市区町村の担当部署(子ども家庭相談担当課・こども家庭センター)が調整機関となり、会議の招集・記録・ケース管理を担う。この三層構造によって、全体方針の共有から個別ケースの具体的な支援までを切れ目なくつなぐ。
情報共有と守秘義務
協議会の参加機関は、個々のケースに関する個人情報を会議で共有できる。ただしこの情報は協議会の活動目的以外に使用できず、参加機関の職員には守秘義務が課される(児童福祉法第25条の5)。個人情報保護法との関係では、「要支援者への支援」という公益目的に基づく情報提供として正当化される。支援機関間の情報共有が不十分だったことで虐待が深刻化した事例(2000年代の複数の死亡事件)が法制化の直接的な契機となった。
調整機関の専門職配置と課題
2022年(令和4年)の児童福祉法改正により、調整機関には支援を要する妊産婦・乳幼児の状況把握・支援調整のため、社会福祉士・保健師等の専門職の配置が義務付けられるようになった。専門職が少ない小規模市町村では担当者の力量確保・人材育成が課題であり、都道府県が市区町村の調整機関職員への研修・スーパーバイズを行う体制が不可欠となっている。ケースの重篤化を防ぐ「予防的支援」と、虐待が確認された「要保護児童への介入」の両方を担う調整機関の役割が拡大するなか、担当者の業務量・心理的負荷の問題も議論されている。
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