多頭飼育崩壊とは、飼い主が管理できる数を超えて犬猫などを飼い続けた結果、不妊去勢を施さず繁殖が進み、適正な飼養も衛生管理もできなくなって周辺の生活環境を損なう状態をいう。
一頭・二頭から始まった飼育が、不妊去勢をしないまま放置されて雪だるま式に増え、数十頭規模にふくれあがって手に負えなくなる。これが多頭飼育崩壊である。餌や医療が行き届かず動物が衰弱し、糞尿による悪臭・害虫の発生で近隣に深刻な被害を及ぼす。背景には、飼い主自身の生活困窮、社会的な孤立、認知機能の低下など、福祉的な問題が潜むことが多く、動物の問題と人の問題が絡み合う。対応には、動物愛護を担う保健所・動物愛護センターだけでなく、高齢福祉・生活支援・住宅などの部署や地域包括支援センター、愛護団体の連携が要る。動物愛護管理法の改正で飼養数に応じた管理基準や上限規制が設けられ、早期の発見と多機関連携による未然防止が課題となっている。
動物の問題と人の問題の重なり
多頭飼育崩壊が難しいのは、動物福祉の問題と飼い主の福祉的課題が分かちがたく重なっている点にある。崩壊に至る飼い主には、経済的な困窮、社会からの孤立、心身の不調や認知機能の低下を抱える人が少なくない。動物を飼うことが心の支えになっている一方で、増えすぎた動物を世話しきれず、助けも求められないまま事態が進行する。このため、動物を引き取って衛生環境を回復させるだけでは根本の解決にならず、飼い主の生活そのものを支えなければ再発する。動物愛護の部署と、高齢福祉・障害福祉・生活困窮者支援の部署が情報を共有し、人と動物の双方を支える視点が欠かせない。
未然防止と多機関連携
多頭飼育崩壊への対応は、崩壊してからでは動物の数も周辺被害も大きくなりすぎるため、いかに早く兆候をつかむかが鍵になる。悪臭や鳴き声の苦情、ごみの堆積、見守りの中で気づかれる飼育状況の異変などが端緒になりやすい。これらの情報は、環境部局の苦情窓口、福祉部局の見守り、地域包括支援センター、民生委員、近隣住民と複数の経路から入るため、部署をまたいで情報を集約し、早期に介入する体制が要る。動物愛護管理法の改正では、飼養する動物の数に応じた管理基準や、自治体が飼養上限を定められる仕組みが整えられ、増えすぎる前に指導する根拠が強まった。引取りや不妊去勢の支援と、飼い主への福祉的支援を組み合わせて、再発させない出口まで描いておきたい。
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