臨港地区とは、港湾を管理運営するため、港湾法・都市計画法に基づき港湾区域に接する陸域に定める地域地区であり、港湾管理者が分区を指定して用途を規制する(港湾法第38条、都市計画法第8条)。
港湾は、船舶の係留や荷さばき、倉庫、工場などが一体となって機能する区域であり、一般の用途地域の規制ではその特殊な土地利用を適切に律しきれない。臨港地区は、港湾の機能を確保するために港の背後の陸域に定める地域地区で、ここでは用途地域に代えて港湾管理者が定める分区(商港区・工業港区・漁港区など)ごとの用途規制が適用される。建築物の用途が分区の目的に反する場合、港湾管理者の規制で建築が制限される。都市計画決定で臨港地区を定め、その内部の分区指定と構築物の規制条例は港湾管理者が担うという、都市計画部局と港湾部局の役割分担が特徴である。
用途地域に代わる分区規制
臨港地区の最大の特徴は、用途地域による規制の代わりに分区による規制が働く点である。臨港地区が定められた区域では、その全部または一部に港湾管理者が分区を指定する。分区には、商港区・特殊物資港区・工業港区・鉄道連絡港区・漁港区・バンカー港区・保安港区・マリーナ港区・修景厚生港区などがあり、それぞれの目的にふさわしくない構築物の建設・改築が港湾管理者の条例で禁止される。一般の用途地域が市町村の都市計画と建築基準法で規律されるのに対し、分区の規制は港湾管理者の条例で運用されるため、立地相談では港湾部局との確認が欠かせない。
都市計画と港湾行政の役割分担
臨港地区をめぐっては、都市計画と港湾行政の二つの主体がかかわる。臨港地区そのものは都市計画法上の地域地区であり、原則として都市計画決定で定められる(港湾管理者が定める場合もある)。一方、その内部の分区の指定と、分区ごとの構築物規制の条例は港湾管理者が担う。さらに港湾の整備・利用の方針は港湾計画で定められ、臨港地区の土地利用はこれと整合する必要がある。したがって、臨港地区内の土地利用を判断するには、都市計画図で臨港地区の範囲を確認したうえで、港湾管理者が定める分区と規制条例を重ねて確認することになる。両部局の所管が分かれている点が、実務上の混乱を生みやすい。
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