持ち回り決裁とは、通常の回議の経路をたどる時間的余裕がない緊急の事案などについて、起案文書を決裁権者のもとへ直接持参して、その場で決裁を受ける方法である。
通常、起案された文書は係長・課長補佐・課長と順に回付される回議を経て決裁権者の決裁に至るが、災害対応や報道対応、議会答弁の調整など、一刻を争う事案ではこの経路を待つ余裕がない。そうした場合に、起案者や担当者が文書を持って決裁権者のところへ直接出向き、必要な説明を加えてその場で決裁印を受けるのが持ち回り決裁である。回議の途中の関係者には、決裁後に文書を回して確認を求める後閲の扱いがとられることが多い。迅速に意思決定ができる反面、通常の回議で行われる各段階のチェックを省くことになるため、対象は真に緊急の事案に限り、事後に経緯を明らかにしておくことが求められる。
回議との違いと使いどころ
持ち回り決裁は、通常の回議に対する例外的な決裁の方法である。回議は、起案文書を指揮命令系統に沿って下位から上位へ順に回付し、各段階の職員が内容を確認したうえで決裁権者の決裁に至る方式で、組織としての検討を積み重ねられる反面、相応の時間を要する。持ち回り決裁は、この順次回付を省き、起案者などが文書を決裁権者のもとへ直接持参して、その場で決裁を受ける。災害や事故への対応、急な報道・議会対応、期限の迫った国への報告など、通常の回議を待っていては時機を逸する事案で用いられる。迅速な意思決定ができる一方、通常であれば各段階で行われる審査や調整が十分に行えないため、対象は真に緊急性のある事案に限るべきものとされる。
後閲と事後の取扱い
持ち回り決裁では、本来回議の経路で内容を確認するはずだった関係者のチェックが省かれるため、決裁の後にこれを補う取扱いがとられる。具体的には、決裁を終えた文書を、本来の回議経路にあった上司や関係部署に事後に回して内容を確認してもらう後閲の手続をとることが多い。また、なぜ通常の回議によらず持ち回りとしたのか、誰がいつ決裁したのかといった経緯を、文書上に記録しておくことが求められる。これは、緊急時の例外的な手続であっても、意思決定の透明性と責任の所在を確保するためである。持ち回り決裁を安易に多用すると、組織的な検討を欠いた決定が積み重なるおそれがあるため、その対象と手続は事務決裁規程などで一定の歯止めを設けて運用される。
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