ジチテン

公害紛争処理

読み:こうがいふんそうしょり

別名:公害紛争処理制度
意味

公害紛争処理とは、公害をめぐる被害者と加害者の間の紛争を、訴訟によらず、あっせん・調停・仲裁・裁定といった手続で迅速・公正に解決するための制度である。

公害による被害を受けた住民が救済を求めようとしても、裁判は時間も費用もかかり、因果関係の立証も難しい。そこで、裁判外で専門的・簡易に紛争を解決する道として設けられているのが公害紛争処理制度である。国の公害等調整委員会と、都道府県に置かれる公害審査会等が担い手となり、当事者の話し合いを仲介するあっせん・調停、合意に基づく仲裁、委員会が因果関係や賠償責任を判断する裁定といった手続を用意している。騒音・振動・悪臭・大気汚染・水質汚濁といった典型的な公害の苦情から、損害賠償をめぐる争いまでが対象になる。市町村は、住民から寄せられる公害苦情の一次的な相談・処理を担い、解決が難しい紛争を都道府県の審査会や国の委員会の手続につなぐ役割を持つ。

あっせん・調停・仲裁・裁定の使い分け

公害紛争処理制度には、性格の異なる複数の手続が用意され、紛争の段階や当事者の意向に応じて使い分けられる。あっせんは、担当委員が当事者の間に入って話し合いを取り持ち、自主的な合意を促す簡易な手続である。調停は、調停委員会がより踏み込んで双方の主張を整理し、調停案を示して合意による解決をめざす。仲裁は、当事者が委員会の判断にあらかじめ従うと約束したうえで、その判断で決着させる手続である。裁定は、公害等調整委員会が、損害賠償責任の有無や額(責任裁定)、または被害と原因行為の因果関係(原因裁定)について公権的に判断するもので、裁判に近い性格を持つ。当事者は、関係や争点に応じてこれらから手続を選ぶ。

国と都道府県・市町村の役割分担

公害紛争の処理は、国・都道府県・市町村が役割を分担して担う。国の公害等調整委員会は、複数県にまたがる広域の事案や、大気汚染・水質汚濁による著しい被害など重大な事案、裁定の手続を所管する。都道府県等に置かれる公害審査会等は、その区域内の公害紛争についてあっせん・調停・仲裁を行う。一方、市町村は、住民から日々寄せられる騒音・悪臭などの公害苦情を最初に受け止める窓口であり、発生源への調査や指導、当事者間の調整によって、大半の苦情をこの段階で解決する。市町村で解決しきれない紛争を都道府県の審査会や国の委員会の手続に引き継ぐことで、苦情から本格的な紛争処理までが切れなくつながる仕組みになっている。

ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)