景観重要建造物とは、地域の景観上重要な外観を持つ建造物として、景観行政団体の長が景観法に基づき指定する建造物である(景観法第19条)。
歴史的な町家や近代建築、地域のランドマークとなる建物は、その外観が地域の景観を特徴づける貴重な資源である。これを景観という切り口から守るために、景観行政団体の長が指定するのが景観重要建造物である。指定されると、その建造物の増築・改築・移転・除却や外観を変更する行為に、原則として景観行政団体の長の許可が必要となり、無秩序な改変や取り壊しに歯止めがかかる。文化財保護法による文化財指定が学術的・歴史的価値に着目するのに対し、景観重要建造物は景観上の価値に着目する点が異なり、文化財として指定されていない建物も対象になりうる。所有者の同意や管理負担、許可基準の運用が指定・保全の実務上の論点となる。
指定の要件と効果
景観重要建造物は、景観計画区域内で、地域の良好な景観の形成に重要な外観を有すると認められる建造物について、景観行政団体の長が指定する。指定にあたっては、所有者の意見聴取など所定の手続を踏む。指定の効果として、その建造物の増築・改築・移転・除却、外観を変更する修繕・模様替え・色彩の変更などには、原則として景観行政団体の長の許可が必要となる。これにより、地域の景観を支える建物が所有者の判断だけで改変・滅失されることを防ぐ。一方で、所有者には管理義務が課されるとともに、現状変更の制限に見合う支援として、税の優遇や補助、管理協定による管理の引受けといった仕組みが用意されている。
文化財保護制度との違い
建造物を守る制度には、文化財保護法に基づく文化財(重要文化財・登録有形文化財など)の指定・登録もある。両者は対象が重なることもあるが、着目する価値が異なる。文化財制度は、建造物の歴史的・芸術的・学術的価値に着目して保護するのに対し、景観重要建造物は、その建造物が地域の景観形成に果たす役割という景観上の価値に着目する。このため、文化財としての価値は高くなくても、地域のシンボルや町並みの構成要素として景観上重要であれば、景観重要建造物に指定されうる。逆に文化財に指定された建造物を、あわせて景観重要建造物として景観面からも位置づけることもある。両制度は排他的ではなく、目的に応じて使い分け・併用される。
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