ジチテン

一者応札

読み:いっしゃおうさつ

意味

一者応札とは、競争入札において、入札に参加して応札したのが結果として1者のみであった状態をいう。

競争入札は、複数の事業者が価格を競うことで、価格の妥当性と公正さを確保する仕組みである。ところが実際には、公告しても応札したのが1者だけということが起こる。これが一者応札で、入札としては成立し落札に至りうるが、競争が働かないため落札価格の妥当性が問われる。

応札者がそもそも集まらず入札が成立しない「入札不調」や、応札はあっても全ての価格が予定価格を上回って落札者が決まらない「入札不落」とは区別される。一者応札は手続としては適法に進みうるだけに、競争の実質をどう確保するかが発注者の課題になる。

入札不調・不落との区別

一者応札は、競争入札がうまく働かない他の現れ方と混同されやすいが、実際には別物である。入札不調は、応札者がそもそも集まらず(あるいは必要な数に満たず)入札が成立しない状態を指す。入札不落は、応札はあったものの、すべての応札価格が発注者の定めた予定価格を上回ってしまい、落札者が決まらない状態を指す。これらが「入札が成立しない・落札者が出ない」のに対し、一者応札は応札者が1者でも入札自体は成立し、その1者が落札に至りうる点が決定的に異なる。三者はいずれも競争が十分に働かない場面だが、成立するかどうか、落札者が出るかどうかで分かれ、発注者がとるべき対応も変わってくる。

競争が働かない一者応札の何が問題か

一者応札は手続としては適法に落札まで進みうるが、競い合う相手がいないために落札価格が予定価格に張りつきやすく、価格が本当に妥当なのか、談合などの不正がないのかを払拭しにくいという問題を抱える。会計検査や監査でも、一者応札の比率の高さは競争性の面から点検の対象になりやすい。発注者は、参加資格の要件をいたずらに厳しくしていないかの見直し、十分な公告期間の確保、発注の規模や時期の調整、再度の公告といった手立てで、応札者を増やし競争性を回復しようとする。形式的には成立している入札であっても、競争の実質を取り戻す工夫が要る場面である。

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