不可抗力とは、天災等の当事者の責めに帰すことができない事由により、契約の履行に損害や遅延が生じることをいう。
工事中に想定を超える豪雨や地震で工事目的物が損傷したとき、その損害は誰が負担するのか。この負担分担を定める前提概念が不可抗力である。公共工事標準請負契約約款は、暴風・豪雨・洪水・地震など当事者双方の責めに帰せない事由で工事目的物や材料に損害が生じた場合の負担方法を定める。受注者が善良な管理者の注意を払ってもなお防げない損害について、一定額を超える部分を発注者が負担するなどの分担が約款に規定される。不可抗力による遅れは履行遅滞にあたらず工期延長で対応する。損害の負担と工期の扱いを約款に沿って処理することが要点になる。
不可抗力に該当する事由
公共工事標準請負契約約款は、暴風・豪雨・洪水・高潮・地震・地すべり・落盤・火災・騒乱・暴動など、当事者双方の責めに帰すことができない自然的・人為的な事由を不可抗力として扱う。ただし、その事象が発生しても、受注者が契約・設計図書・監督員の指示に従い、かつ善良な管理者の注意を払って予防・防護していれば避けられたはずの損害は不可抗力による損害とは認められない。つまり、当事者の責めによらないことに加え、受注者が相応の注意を尽くしてもなお避けられなかったことが、不可抗力による損害として扱われる前提になる。
損害の負担と工期の扱い
約款は不可抗力による損害の負担方法を定め、受注者が負担すべき一定額(請負代金額に一定率を乗じた額など)を超える部分を発注者が負担するといった分担を規定する。受注者は損害の状況を発注者に通知し、両者が調査・確認のうえ負担額を協議・決定する。また不可抗力による施工の遅れは受注者の責めによらないため履行遅滞にあたらず、必要な工期延長で対応する。損害負担と工期延長を約款の手続に沿って記録・精算することが、後の紛争防止の要点である。
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